PURPOSE STORY

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アルバイトやスポットワークを「未来が見える」仕事に。

株式会社マイナビ アルバイト情報事業本部  第3営業統括本部/スポットワーク事業統括本部 統括本部長 池田 克(いけだ・すぐる)

「パーパス」ってなんだろう?

「ミッション」や「経営理念」と似ているけど、ちょっと違う。
企業と社会のつながりが欠かせない今、
ビジネスシーンで“存在意義”と訳されるこの言葉が、
多くの企業に求められている。

《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》

これは、マイナビが掲げたパーパスとともに歩く、
社員一人ひとりの物語。





近年、人手不足や雇用の多様化に伴い、副業やスポットワークの需要が増している。マイナビでは、2024年2️月にLINEヤフー社とスポットワーク分野で業務提携、単発雇用マッチングサービス「LINEスキマニ」での協業を開始した。

この新領域に挑むのが、アルバイト情報事業本部 第3営業統括本部/スポットワーク事業統括本部それぞれで統括本部長を務める、池田 克だ。

17年以上にわたる人材業界経験を持ち、2023年4月にマイナビへジョインした池田は、マイナビの強みを生かして、アルバイトやスポットワーカーをはじめとする「有期雇用労働者」と「クライアント」の両者にとって、真に価値あるサービスを目指す。「世のなかから『非正規雇用』という言葉をなくしたい」と話す池田の真意に迫った。

人材分野でやるべきことは、まだあった。

大学卒業後、アルバイトをしながらプロのジャズミュージシャンを目指していた池田。その後、夢に敗れた彼のキャリアは思わぬ方向に進むことになる。

「大学では心理学を専攻していましたが、心理カウンセラーに適性を見いだせず、言うならば“職業のカウンセラー”である人材業界に興味を持ちました。2004年、26歳の時に、今では大手となった人材系企業の門を叩き、アルバイトを中心とした求人広告営業に従事することに。約17年、その企業に在籍し、幅広い業種の提案営業や採用戦略の策定に携わることができました」

キャリアの幅を広げたいという想いから退社し、2022年に入社したのは、フードデリバリー・テイクアウトアプリを運営する企業だった。営業として奮闘していたが、結果的に約1年でマイナビへ。

「デリバリー事業でクライアントと対峙していく中、多く聞かれたのは、『人手不足でデリバリーに対応できない』という声でした。人材分野は前職でやりきったつもりでしたが、まだできることがあるかもしれないと。視野が広がったことで、スポットワークにまつわる新規事業の構想も浮かんできたんです」

池田が思い描く新規事業とは、「単に空いた時間に働く」のではなく「働く一人ひとりのキャリアにつながっていく」、アルバイトやスポットワークのしくみだ。

「フードデリバリーで雇用されるドライバーは、さまざまな評価指標によって報酬単価が決まっていました。例えば、レストランやカフェといったクライアントや注文者からの評価、これまでの走行距離、それにドライバーが集まりにくい時期や時間帯、悪天候時に出勤しているかなどですね。このしくみをHR(人的資源)のマーケットで応用できたら、ユーザー・クライアント双方に新しい価値を提供できるのではないかと考えたのです」

マイナビへの入社前、池田はこうしたアイデアを旧知のマイナビ社員に伝える機会を得たという。そんな縁から2023年4月、アルバイト情報事業本部の新規プロジェクトを担う一員として、マイナビであらたなキャリアを歩むことになったのだ。

LINEスキマニ

スポットワーク市場に、マイナビの強みを。

マイナビへの入社から約1年が経った2024年2月、池田が率いてきたチームによる新プロジェクトが発表された。LINEヤフー社が運営する単発雇用マッチングサービス「LINEスキマニ」との業務提携だ。同サービスには約2,000万人の友だち登録があり、そこにマイナビが持つアセットを融合して、営業・商品開発分野で協業していく。

「スポットワーク市場には、大きな市場シェアを誇る先行サービスがありますが、ユーザー数でいえばLINEスキマニも同等です。現状はまだ掲載案件が少ないので、まずはマイナビが持つクライアントとのつながりを生かして、案件数を増加させたいと考えています」

人材業界で50年の歴史を持ち、あらゆる雇用形態に関するサービスを扱うマイナビの強みを生かし、LINEスキマニのサービス自体の進化・成長も視野に入れている。

「人材会社は、働く人の想いやそこで積み上げられるキャリア、スポットワーカーを採用するクライアント側の売上向上や事業成長にも責任を持たなければなりません。スポットワークの強みは、求職者は空いた時間にサクッと働けて、クライアント側は人手不足を埋められることにありますが、ただ『便利』な側面を強調するのではなく、両者にとっての『価値』を踏まえてサービスを設計すべきなんです」

池田が考える「クライアント・求職者両方の価値」とは、LINEスキマニのみに限らない。マイナビバイトをはじめ、長らく“メディア”として求人情報を発信してきたマイナビがスポットワーク市場に参入することには、どのような意義があるのだろうか?

「まず、求人サービスを提供する人材会社の大半は、『スポットはスポットだけ』『メディアはメディアだけ』と切り分けているのが現状です。そのため、多くのクライアントは『スポットワーク』と『(レギュラーの)アルバイト』で、異なる企業の異なる求人サービスを使い分ける必要がありましたが、ここをマイナビが担えば、1社でスポットワークもアルバイトも募集できます」

さらに、マイナビグループが培ってきたさまざまサービスを組み合わせることによる、シナジー効果にも期待ができるという。

「求職者としては、スポットワークの雇用形態は『日雇い』ですが、彼らが求めているのは雇用形態ではなく、『日払い』の制度です。空いた時間に働き、その分の報酬を即日、あるいは自分の意思で受け取れる働き方をしたいわけですね。そこにマイナビグループの商材を組み合わせれば、クライアントに対して日払いシステムの導入を提案することも可能になってきます」

スポットワークからでも、キャリアが広がる社会に。

スポットバイトを通じたスポットワーカーのキャリア形成も、池田が掲げる大きなミッションだ。

「世間的な“信用”の基準は、現状だと『年収』や『学歴』です。例えば、クレジットカードをつくるためには一定の年収が必要なケースが多いですよね。でも実社会では、人の信用は年収や学歴だけではないでしょう? 礼儀正しい、約束を守る、コミュニケーション力が高い、思いやりがあるなど、さまざまな要素があるはずです」

学歴や年収だけではない評価指標があってもいい。特に、アルバイトやスポットワーカーのような有期雇用労働者が適切に評価されるには、学歴や年収以外の基準が必要ではないか。人材業界に長く身をおき、「有期雇用労働者」と「クライアント」の声を聞き続けてきた池田のなかには、こうした課題意識がある。

「フードデリバリー業界のドライバー評価制度のように、さまざまな要素で評価され報酬が上がり、キャリアアップにつながるような仕組みをつくり上げたいと思っています。アルバイトや派遣社員に『社員登用制度』があるように、スポットワーカーにも勤務態度や勤務実績、コミュニケーションスキルなど、多様な評価制度を取り入れ、キャリアの選択肢を広げていきたいですね」

さらに有期雇用労働者に対して、研修などの機会を提供することも推進していきたいと、池田は語る。

「正社員には研修や教育プログラムがありますが、有期雇用労働者は能力開発の機会が少なく、両者の格差は広がるばかりです。マイナビがこれまでに積み上げてきた商材を生かして、有期雇用労働者の定着化につながる研修サービスなどを提供していくことも、私たちの役割だと思っています」

クライアントが求める人材の「言語化」を手助けしていく。

新事業の「LINEスキマニ」や、アルバイト情報事業本部の核となる「マイナビバイト」を成長させるにあたり、池田が“最大のテーマ”として掲げているのが、クライアントが求める人物像やその企業の魅力を、求職者に伝わるように「言語化」することだ。

「多くの企業では、新卒採用やキャリア採用の際には、事業戦略にのっとって必要な人材の要件定義を行い、採用したい人物像を言語化しています。ところがアルバイトやスポットワーカーの採用となると、一気に人物像の輪郭がぼやけてしまう。『短期的な雇用だから』と考えているのかもしれませんが、有期雇用労働者も代わりの効かない、欠かせない人材なんです」

例えば大学生の場合、アルバイトを始めてから14.5%ほどの学生が、1ヶ月以内の早期離職をしている。「クライアントが短期視点で考えるのも理解できるが、大学生は最初から1ヶ月で辞めようと考えているわけではない」と池田は言う。

「短期で入れ替わる可能性が高いアルバイトやスポットワーカーの採用のために、時間をかけて考えるのはムダだと思うかもしれません。しかし、結果的に時間を割いて丁寧に取り組んだほうが、アルバイトの採用・定着はうまくいくんです」

とはいえ、クライアント側に「言語化」に取り組んでもらうことは容易ではない。そこでマイナビが間に入ることで、各クライアントの話を丁寧に聞き、従業員になったつもりでその企業の文化や風土を理解したうえで、言語化を手助けできるのではないか。そして、長きにわたって人材分野に携わってきたマイナビにはそのためのノウハウがあるのではないかと、池田は考えている。


※出典: 株式会社マイナビ「大学生のアルバイト調査(2023年)」

すべての働く人が、平等に認められる社会に。

総務省が実施している2023年の「労働力調査」では、役員を除く雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合が37%だった。「非正規雇用」という言葉は、政府の統計でも使われるほど世のなかに浸透しているが、これに対して池田は異議を唱える。

「日本の労働力の約40%を占める人たちを『正規ではない』と呼ぶのは、おかしくないでしょうか。さまざまな事情から、みずから望んで有期雇用の形態を選んでいる方は多くいるにも関わらず、『正規雇用されなかった人が有期雇用労働者になっている』というイメージがありますよね。これは誤解なんです」

その一方で、有期雇用労働者が仕事に満足しているかといえば、そうとは言い切れないという。

「みずから望んで有期雇用を選んでいるけれど、何らかの事情があって有期雇用を選んだかもしれないし、『有期雇用のままで給料を上げたい』『もっと働きたい』と思っているかもしれません。この辺りの議論がごった煮になっているのは、大きな課題だと認識しています」

近年、顕著な人手不足や副業の解禁などにより、スポットワーク市場は盛り上がりを見せている。ただ、「注目度が上がっている」というだけで終わらせたくないというのが、池田の本音だ。

「人手不足や雇用の多様化に伴い、副業やスポットワークの需要が増している今だからこそ、有期雇用労働者の処遇や社会的立場を改善するチャンスだと思っています。そして、この社会に生きるすべての人が、正規雇用でも非正規雇用でも同じ目線で認められる社会にしていくべきだと強く思います。世のなかから『非正規雇用』という言葉をなくしたいんです」

始まったばかりの「LINEスキマニ」との業務提携は、まだ暗中模索の段階だ。だが、マイナビに入社して1年が経過した池田は、「思い描く世界に近づいている」という手応えを感じている。有期雇用労働者を取り巻く環境を改善するための道のりは長いが、自身のパーパスに向かって、池田は着実に歩を進めていく。

株式会社マイナビ アルバイト情報事業本部  第3営業統括本部/スポットワーク事業統括本部 統括本部長

池田 克(いけだ・すぐる)

2004年ディップ株式会社に入社し、求人広告営業として16年半勤務。飲食業、サービス業、製造業、小売・卸業、など幅広い業種に対して、提案営業から採用・定着に向けた課題解決ならびに人事戦略策定に従事し、その後マーケティング職へ。2022年2月より株式会社Reazista執行役員、デリバリー・テイクアウトアプリ『menu』開拓営業及びカスタマーサクセス部門の営業責任者(デリバリーコンサルティング、飲食店向けDX商材提案)。
2023年4月、株式会社マイナビ入社。現在はアルバイト情報事業本部にて第3営業統括本部 統括本部長と、「LINEスキマニ」に代表されるスポットワーク事業の責任者を務める。

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