総務の仕事を通じて、社員が挑戦できる環境を整える。
「パーパス」ってなんだろう?
「ミッション」や「経営理念」と似ているけど、ちょっと違う。
企業と社会のつながりが欠かせない今、
ビジネスシーンで“存在意義”と訳されるこの言葉が、
多くの企業に求められている。
《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》
これは、マイナビが掲げたパーパスとともに歩く、
社員一人ひとりの物語。
大規模な自然災害などの有事に備える「リスク管理」の必要性は、近年ますます高まっている。本社総務統括部 リスク管理課※の課長として、マイナビのリスク管理業務を牽引するのが、2016年に中途入社した松田駿だ。
約6年間にわたって看護領域のキャリアアドバイザーを務めたのち、「現場の視点を生かして社員の働く環境を改善したい」という想いから、2022年に本社総務部に異動した松田。
総務は、売上に直結するわけではないが、企業が存続するうえでなくてはならない存在だ。そんな重責を担う松田に、リスク管理の重要性や自身のパーパスについて聞いた。
※注釈:取材当時の部署名。2024年7月からは同部にて総務管理2課 課長を務めている。
現場の最前線から、現場を支える総務へ。
2024年に社会人15年目を迎えた松田。最初に就いた職業は、建築物の設計図からコストを割り出す「建築積算士」だった。当時は、朝から晩までデスクにかじりついて計算に没頭していたという。
「建築積算はひとつのことに没頭できる非常に楽しい仕事だったのですが、一方で、人と話すのも好きだったので、次第に営業の仕事に興味を持つようになったんです。そのなかでも、誰かの人生の転機に携わる仕事をしたいと思い、とあるベンチャー企業に転職し、看護領域のキャリアアドバイザーとして働き始めました。でも、わずか6ヶ月で部署が解散してしまって。仕事の手応えも感じていたので、会社に残るより、転職してキャリアアドバイザーを続けたいなと」
そんなときに巡り合ったのがマイナビだった。前職の上司の紹介で、同職の中途採用面談を受け、2016年に入社。入社後は埼玉支社に配属されたが、「最初の2年間は苦しいときのほうが多かった」と、松田は振り返る。
「前職でのやり方が通用せず、最初はなかなか数字が伸びませんでした。即戦力として期待されているなかで、数字が出せないのは苦しかったですね。転機になったのは、埼玉支社時代の上司と2人で宮城支社に異動した2018年。売上が伸び悩んでいた東北6県を少数のメンバーで担当することになったんです。『ここで結果を残せなければ、宮城支社も自分も終わりだ』。そんな想いで、上司と二人三脚で奮闘していくうち、次第にメンバーが増え、数字も伸びていきました」
異動から1年が経った2019年には、優秀な成績を収めた社員に贈られるプレイヤー賞で銀賞を受賞。同年、課長への昇進もかなえた。2020年には再び埼玉支社に戻り、群馬・栃木エリアの責任者に就任。営業で実績を残した松田だが、どんな経緯で総務へ異動することになったのだろうか。
企業の存続に欠かせない「リスク管理」を牽引。
2022年4月、松田は自身の希望により、本社総務部のリスク管理課に異動した。営業から総務への異動は社内ではめずらしいが、いつかは会社全体に影響を及ぼすような仕事をしたいと考えていたという。
「6年近く現場にいたからこそ気づけた課題も多かったので、現場の目線を生かして会社全体の改善に取り組みたいと思っていたんです。『社内の環境整備』を一手に担っている総務でなら実現できそうだと思い、異動希望を提出しました。タイミング良く、リスク管理課の課長ポストに空きがあり、希望通り総務部への異動がかなったんです」
同課では社内で想定されるさまざまなリスクに備え、車両の管理や安全運転の推進、有事の際の社員の安否確認などを担っている。また、他の課と協力し、全社イベントの運営なども行っているという。
「昨今はグローバル化や業務の複雑化などにより、リスク管理の重要性がさらに高まっています。業務中に起こり得るリスクを未然に防ぎ、有事の際には社員の安全を確保する。リスク管理は決して目立つ仕事ではありませんが、企業としての信頼を維持し、存続していくために欠かせない業務だと考えています」
課長という職位は同じでも、営業と総務では業務の性質は異なると松田は語る。
「営業時代はとにかく数字を残さないといけないことにプレッシャーを感じていましたが、総務では自分の仕事が全社員に影響を与えるという、以前とは違うプレッシャーがありますね。特にリスク管理課は、人の命や会社の信用に関わる課だからこそ、視野を広く持ちながら、日々気持ちを引き締めて業務を行っています」
現場経験を生かし、社内ドライバーの安全運転を促進。
リスク管理課でもっともウェイトを占める業務は、車両と社内ドライバーの管理だ。マイナビでは、社用車やレンタカー、カーシェアリングを用途に応じて使い分けており、全社員のおよそ4分の1に当たる約2,500人が業務で車両を使用している。
「弊社では、社員の事故や違反を防ぐため、安全運転の促進に力を入れています。理由としては、社員や近隣住民の方の命を守ることはもちろん、事故や違反によって企業イメージが低下するのを防止する目的もあります」
2,500人近くもドライバーがいれば、運転技術の差も大きくなり、安全運転を促す難易度も上がる。こうした課題を乗り越えるため、どんな工夫を行っているのか。
「まず、新規のドライバーや運転免許の更新時期を迎えたドライバーに対しては、eラーニングやドライビングスクールの受講を必須に。さらに1年に1度、外部講師を招き、既存ドライバー向けの安全運転講習会を実施しています。直近2年間で事故や違反を起こした社員は参加必須とするほか、形だけの講義にならないよう、社内で発生率が高い事故について解説したり、参加者に質問を投げかけたりといった工夫も。仕事の都合などで参加できないという社員に対しては、アーカイブの視聴を義務化するなど、現場の実情に合わせながら参加率を高める施策を行っています」
2023年12月の法改正※に伴い、これまで目視で行っていたアルコールチェックを、アルコール検知器を使った運用に切り替える際にも、ルールが徹底されるよう細心の注意を払っている。
「弊社では車両の管理や予約をシステム上で行っているのですが、現場の負担にならないよう、アルコール検知器による検査も同じシステムで行えるよう一元化しました。さらに、ドライバー宛にメールを送ったり、各支社と連携して支社長から声かけを行ってもらったりといった現場への働きかけにより、実施漏れを防いでいます」
さまざまな取り組みの結果、安全運転講習会の視聴率は90%以上に向上し、アルコール検知器を使ったアルコールチェックも浸透。まさに、松田の現場経験が大いに生きた取り組みと言えるだろう。
※出典:道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令の施行に伴うアルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認等について(通達)
安否確認システムを整備し、あらゆる有事に備える。
有事の際、海外で働く社員の安否を確認するための「海外安否確認システム」の本格導入も、松田が力を入れた取り組みの一つだ。
「グローバル事業が拡大し、海外で勤務する社員や出張者が増えたことが、導入に至ったきっかけです。海外ではテロや戦争など、われわれでは対応が難しい非常事態が起きる場合もあるため、専門スタッフに現地対応を依頼できる安否確認サービスを導入し、対応フローの整備などを行っています」
国内の安否確認システムについては以前から導入されていたが、運用上の課題もあった。松田は現場の目線を生かしながら、システムの改修に取り組んだという。
「以前のシステムでは、安否確認の回答状況を東京本社の社員しか確認できない仕様になっていました。でも、有事の際に社員の安否を真っ先に把握すべきなのは、有事が起きているエリアを統括する支社長や支部長といった現場の責任者です。そこで、各支社・支部のトップにもシステムの権限を付与し、回答状況を閲覧できるように改修したんです」
改修に加え、3ヶ月に1度、テスト運用を行っている。つぎのテストでは、東京本社が機能しなくなった場合を想定し、大阪支社から安否確認メールをテスト送信する予定だ。
「本社が機能しなくなっても企業として存続できるか否かは、特に重要な視点です。そうした事態も含め、あらゆるリスクを想定して、運用フローの検討やテスト、システムの整備を繰り返しています。また、2024年の元旦に起きた能登半島地震のように、社員が被災地に帰省や旅行で訪れている場合、事前登録された勤務地や居住地が当てにならないことも。そうした場合にも対応できるよう、全社員に一斉に安否確認メールを送る方法も検討しているところです」
すべての社員がチャレンジできる環境をつくる。
松田は、キャリアアドバイザーとして現場で働いていた頃を振り返り、自身のアイデアを業務に生かせないことにもどかしさを感じていたと語る。
「例えば、私たちからユーザーのもとに出向いてカフェなどでお話するなど、当時はあまり行っていなかったあたらしい営業スタイルも検討していましたが、その頃は忙しさもあり、社内に提案できないままになっていました。ですので、現場の社員が『やりたい』と思ったときに、どんどん提案してチャレンジできる環境をつくっていきたいなと。車両をもっと気軽に使えたら営業スタイルも変えられるし、海外出張や海外勤務がさらに安心なものになれば事業の拡大も可能になるかもしれない。現場にヒアリングを重ねながら、最大限のサポートをしていきたいと考えています」
総務に異動して2年。現在の仕事にやりがいを感じていると、松田は言葉に熱を込める。
「全社員の働く環境を整える総務の業務は、非常に意義のある仕事だと感じています。個人的に特にやりがいを感じるのは、全社イベントの運営ですね。私自身、幕張メッセで実施された全社表彰式にはじめて参加した際、『社員の活躍をこんなに盛大な式典で讃えてくれる会社の一員になれたんだ!』と感動したんです。そうした初心は忘れたくないし、あたらしく入社した社員にも、イベントを通じて『この会社に入って良かったな』と思ってほしい。そのためにも、イベント運営には今後も力を入れていきたいですね」
本社にいても現場の目線に立つことを忘れず、業務の先にいる社員のことを考える。すべてを管理しようとするのではなく、現場の社員の気持ちや働きやすさにも目を向ける。そうして、全社員が自分らしく輝きながら挑戦できる環境をつくっていくことこそ、松田が追い求めるパーパスであり、本社総務統括部のパーパスでもあるのだ。
株式会社マイナビ 総務統括本部 本社総務統括部 本社総務2部 リスク管理課 課長
松田 駿(まつだ・しゅん)
2016年10月、株式会社マイナビに中途入社。入社後は、旧紹介事業本部(現:医療・福祉エージェント事業本部)に配属され、埼玉支社にて看護領域で主にキャリアアドバイザーとして従事する。2018年に宮城支社へ異動し、2019年には営業課長に昇進。2020年、埼玉支社に再び配属されたのち、2022年4月に総務統括本部本社総務統括部に異動。リスク管理課の課長として、車両管理、防火・防災管理、代表電話・メール対応などの業務を担当。2024年からは同部の総務管理2課 課長に就任し、現在に至る。