学びの先に「キャリア」がある世界に。
「パーパス」ってなんだろう?
「ミッション」や「経営理念」と似ているけど、ちょっと違う。
企業と社会のつながりが欠かせない今、
ビジネスシーンで“存在意義”と訳されるこの言葉が、
多くの企業に求められている。
《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》
これは、マイナビが掲げたパーパスとともに歩く、
社員一人ひとりの物語。
取締役 常務執行役員の渋沢喜一郎は、学生のキャリア形成を支援するキャリアデザインセグメントのトップ。その立場を考えると「学生のうちから将来を見据え、しっかりキャリアデザインをすべき」そんな話が展開されるのではと予想していた。
が、しかし「若いうちから20年、30年先のキャリアを考えるなんて難しいんじゃないかな。たとえ考えられたとしても、そのとおりになるとは限らないだろうし」
その言葉は、意外なものだった。
未来をみつけるヒントを示したい。
渋沢のキャリアは、1989年、毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社したところから始まる。もともとは美術部(現・毎日オークション)志望だったが、実際は就職情報事業本部の編集係として、大宮営業所に配属された。小さな営業所だったこともあり、やがて編集だけではなく、営業も任されるようになる。戦略を立てて取引先の課題を解決する営業の仕事は、渋沢の性格に合っていた。気づけばすっかり夢中になり、営業専門でやらせてもらえるよう上司に頼み込んだ。
「入社時に具体的なキャリアを描き切れていなくても、悲観することはありません。僕みたいに、入社してからやりたいことに出会える場合もありますから」
やりたい仕事に出会う可能性を少しでも高めるためには、学生時代をどのように過ごせばいいのだろう。
「学生時代にできることはたくさんあります。それは、視野を広げること。本を読む。勉強する。資格を取る。インターンに参加するなど、とにかく動いて吸収してほしい。われわれがキャリアデザインセグメントでやっていることは、学生が視野を広げるためのヒントを差し出すことなんですよ」
キャリアデザインセグメントは、今後社会で求められる人材を早期の段階から育成することを目標に、学生向けのキャリア教育コンテンツや人材情報サービスなどを提供している。たとえば新卒向け就職情報サイトの「マイナビ」や「マイナビ新卒紹介」、「マイナビ進学」などがキャリアデザインセグメントのサービスだ。
それらが提供する情報は、やりたいことを探す学生にとって「答え」そのものにはならない。しかし、キャリアを考え、未来を見つけるための「ヒント」や「選択肢」が、さまざまな視点や視座から散りばめられているという。
「キャリアデザイン」という言葉にハードルの高さを感じてしまい、行動に移すのは難しいという人もいるかもしれない。しかし‟自分のキャリアを考えるヒント“を探すということなら、すこし気楽にできそうだ。キャリアデザインが、誰にでも、すぐにでも、はじめられる事のような気がしてくる。
「学び」の延長に「キャリア」があってほしい。
「私自身もそうだったのでえらそうなことは言えませんが」と前置きをしたうえで、日本におけるキャリアを考え始める時期の遅さを指摘する。
「日本の学生の多くは興味に従って大学や学部を選び、大学3年生になってから『どういう会社に入りたいのか』を考え始めます。一方欧米では、将来どういう仕事をしたいかを前提に学校や学部を選んでいます」
日本のキャリア教育の課題は時期だけではない。最大の課題は「学校での学びの延長線上にキャリアがないこと」だと渋沢は語る。
「大学で学んだ知識や経験を生かす機会もなく、入社した会社で仕事を覚えるしかない。われわれはこの状況を少しずつ時間をかけて変えていきたいんです」
高校や大学で学んだことの延長線上にキャリアがある。そんな状態をつくるのが目標だ。そう語る言葉は、ひときわ熱を帯びている。
My CareerStudy
My CareerStudyとは、「未来を拓く学びの場」としてマイナビが提供するサービス。会員登録をすれば無料で自己分析やキャリアデザイン講座等のコンテンツが利用できる。
必要なのは、若者が自分の力で答えを見つけられること。
「学びを仕事に結び付けるには、大学3年生になってからキャリアについて考えるのではなく、大学入学時から将来を見据えた選択をすることが非常に重要になってきます」
それをサポートするのが、キャリアデザインセグメントの役割だ。鍵になるのは、履修登録のタイミングだと考えている。学びをキャリアにつなげるために、どんな授業を選び、学ぶべきなのか。それを考える機会があれば、有意義な履修登録ができるはずだ。
「私もそうだったんですが、学生って『単位が取りやすいから』という理由で授業を選んだりするじゃないですか。そうではなく、『将来このキャリアに進むためには、こういう知識が必要になる。だからこの授業を選ぼう』という選び方をするのが理想です。そのためのアドバイスを企業の人たちから直接もらう、そんな機会もつくりたいんです」
高校や大学1~2年から彼らがさまざまな企業と触れ合い、学ぶ機会をつくる。
答えを差し出すのではなく、学びとキャリアが結びつく機会をつくり、若者が自分の力で答えを見つけられる環境をつくる。次に、マイナビに問われるのは、提供するヒントの質ということになる。
充実した初期キャリアを送ってもらうために。
多くの学生は就職をゴールにしているが、たとえ就職できたとしても、すぐに離職してしまうという事例もある。離職率を下げるには、入社後1年間を指す「初期キャリア」の満足度が重要と渋沢は語る。そのためキャリアデザインセグメントでは、初期キャリアが充実しているかどうかのデータを集めて数値化し、その数字を上げることを目指している。
充実した初期キャリアを過ごすためには、自分に合った企業を選ぶ必要がある。そのマッチングの精度を高めるには、どういった人材がその組織で活躍しているのか、いわゆる「活躍人材」のデータを生かしていきたいという。
「たとえば、バイタリティが高い人が活躍する企業がある一方、IT系の企業だと、分析力が高い人やストレス耐性が高い人が活躍している。会社によって活躍できる人材のタイプが違うんですよ」
データによって活躍人材のある程度のモデリングをしていきたい。就活生の職業適性テストの結果や入社後の評価など、それらを活用できれば、企業ごとの活躍人材が今以上に精度が高く可視化されることができるだろう。穏やかだが力強い声でこう語った。
最後に、渋沢自身のパーパスを聞いた。
「学生にとって企業にとっても、マイナビを使うことで未来がより明るくなればいいですね。頼ってほしいし、その期待に応えつづける自分でありたいです」
先が見えないと言われる一方、多様な選択肢が用意されてもいる時代。学生が必要とするヒントを必要なタイミングで示し、学びとその先にあるキャリアを結びつける。そんな世界をつくろうとマイナビは動いている。
株式会社マイナビ 取締役 常務執行役員 キャリアデザインセグメント セグメント長
渋沢 喜一郎(しぶさわ・きいちろう)
1966年生まれ。1989年、 株式会社毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)入社。
就職情報事業本部 大宮営業所に配属となり、営業部部長、名古屋支社長などを歴任。
2019年、取締役 上席執行役員 就職情報事業本部 事業本部長。2022年より現職。