第6章
多彩なサービスで、それぞれの人生に
寄り添いながら次の50年へ
リーマンショックを乗り越えた経験を力に変え、M&Aを通じて精力的にグループ会社を増やし、サービスの幅も急速に広げていく。ウエディング、ニュースサイト、さらに農業など、人材関連以外の領域にも手を伸ばした。気づくと、学生向けの就職情報サイト「マイナビ2015」で、掲載社数がナンバーワンに。社名変更から2年、2013年12月のことである。さらに、2016年には売上が1000億円を超え、二代目社長の佐々山泰弘が「コミュニティー情報産業のパイオニアとして1000億企業へ」と宣言してから、実に28年経った時だった。
しかし、グループ全体の統制が成長スピードに追いつかず、経営陣の中には危機感を抱く者もいた。後に社長となる土屋芳明は「2023年には創業50周年を迎えるが、次の50年を見据えた時、そもそも会社は存続しているのだろうかと。ずっと同じやり方をしていたのではいけない。いったん立ち止まり、50年先を見越して今を改革しなければならないと思いました」。事業ポートフォリオの整理、国内外でのM&A、海外企業のソーシングのための駐在所の設立などを進めた。
2020年代に入ると、新型コロナウイルス感染症が蔓延し、人々のライフスタイルは大きく変化した。マイナビは、社会に対し、そして個人に対し、ふさわしい価値を提供する新しいステージへの進展を目指し始めた。
そして現在、「一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。」という新たなパーパスを策定し、多角化によって増えた事業を整理し、親和性のある事業をセグメントでまとめ、それぞれが成長戦略を立てて業務効率化と生産効率化を進めている。
今後、日本社会は少子高齢化が進み、急速に進展するAIによって多くの仕事が人から機械に代わっていくことが予想されている。先が見えない時代、不安感を抱きながら人生を歩んでいく人々の、一生をめぐるさまざまなシーンにたくさんの選択肢を提示し、未来を明るく照らすサポートが、これからのマイナビの使命。土屋はこう話す。「50年後の社会がどのようになっているかなど誰にも分かりません。ただし、マイナビは常に一人ひとりの可能性や価値観に寄り添い、そこにビジネスの視点を置いて追求していくだけ。それは、創業から受け継がれてきた我々のDNAであり、パーパスは明文化しただけのもの。さらに未来につなげ、時代に合ったカタチで実践していくことが、マイナビの存在意義にほかなりません」