PURPOSE STORY

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未来ある限り目指し続ける、その高みに向かって。

株式会社マイナビ 代表取締役 社長執行役員 土屋 芳明(つちや・よしあき) × PIVOT株式会社 国山 ハセン(くにやま・はせん)

「パーパス」ってなんだろう?

「ミッション」や「経営理念」と似ているけど、ちょっと違う。
企業と社会のつながりが欠かせない今、
ビジネスシーンで“存在意義”と訳されるこの言葉が、
多くの企業に求められている。

《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。 》

これは、マイナビが掲げたパーパスとともに歩く、
社員一人ひとりの物語。





パーパスが生き生きと脈動し始めるのは、誰かがあたらしい世界の扉をみずからの手で開けようとする、その瞬間だ。

「パーパスストーリー」では、マイナビで働くさまざまな人を訪ねて、それぞれの内に宿る可能性の芽を見つけていきたいと思う。

トップバッターを飾るのは、マイナビ 代表取締役 社長執行役員の土屋芳明。話し相手となるのは、ビジネス映像メディア「PIVOT」にプロデューサーとして参画しまもない、元TBSアナウンサーの国山ハセンさんだ。彼もまた、自身の可能性に賭けて未来へと踏み出した、挑戦者の一人である。

土屋にとって、ハセンさんにとっての「未来が見える世界」とは? 夏の気配に満ちた梅雨明け間近のこの日、二人の対話は行われた。

マイナビの文化を、ガラッと変えるときが来た。

「創業50周年を迎えて、今、どんな気持ちですか?」開口一番、祝福ムードで問いかけるハセンさん。意外にも土屋は、冷静な口調でこう答えた。「私は『会社は30年続いたら安泰』と言われて育った世代です。だからこうして無事50周年を迎えられたのは、喜ばしいこと。ただ、近ごろずっと頭にあるのは、『じゃあ、つぎの50年をどうしていくか?』ということなんです」

「こうすれば未来を確実に切り拓ける、という正解はないと思います。わかっているのは、これからの50年は、これまでの50年とはまったく違うものになるということ」

あらゆることが目まぐるしく流動し、人々の意識や社会構造が根底から変わりつつある現在。そんな時代感覚をありのままにとらえる土屋の言葉に、ハセンさんも、共感の意を込めて深く頷く。

創業以来、就職・転職・進学情報の提供や人材の紹介など、「人」に関するビジネスを展開してきたマイナビ。これまでの歴史を振り返ると、既成の枠組みのなかで、成長を遂げてきた50年ともいえる。しかしその枠組みは、果たしてこの先も存続するのか。土屋の危機感が、言葉の端々ににじむ。

「私は、これからの50年は、従来の成功の形にとらわれず、ゼロベースであたらしい価値を創造するときだと思っています。では、そのためには何が必要か? マイナビが築いてきた文化そのものを、ガラッと変えること。この会社で働く人の価値観と行動を変える。じゃないとイノベーションなんて、到底生み出せないですよね」

決められたルールのなかで成果を出すことと、ルールが取り払われたまっさらな状態で発想し行動することの差は、限りなく大きい。いまだかつて経験したことのない挑戦を前にして、土屋はみずからの決意を口にした。


全社員の心をひとつにする軸が、
どうしても欲しかった。

「だからこそ今、あらたにパーパスをつくる必要があった?」というハセンさんの投げかけに、「そのとおりです」と返す土屋。続いて、パーパス策定の動機をこう語った。

「50年先の社会と自社のありようについて真剣に思いを巡らせたとき、全社員が心をひとつにできるよりどころ、世代を超えて受け継いでいける一本の軸がどうしても必要だと感じました」

マイナビとは一体何者なのか? 何者でありたいのか? これまでくっきりと像を結んでいなかった会社の存在意義を言語化することが、未来へと飛躍するきっかけを与えてくれると信じたのだろう。

「パーパスは、人類が存在する限り生き続けるもの」と、土屋は言う。「そもそもパーパスって、100年かけても実現できないくらいの崇高な理念だと私は思っています。10年や20年で成し遂げられたら、それはパーパスとは言えない。私たちに必要なのは、永遠に達成できないくらい、はるか先のその高みに向かって、ただひたむきに努力を重ねていくこと。そうした姿勢こそがもっとも大切で、あたらしい価値を創造する力は、その過程で養われると思うんです」

時代が変われば当然、社会で提供されるサービスの姿形は変化する。だが、それらを産み支えるパーパスは、バトンのように世代から世代へと手渡されていくのだ。

積み上げてきた歴史が、
ここにギュッと詰まっている。

「一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる」。このパーパスに、マイナビがこの先、全グループにおいて描こうとしている世界観が表れている。

ハセンさんは、一つひとつの言葉を噛みしめるようにして言う。「パーパスにある『一人ひとり』って、マイナビが提供するサービスの利用者、クライアント、社員のことでしょうか。さらに社員のご家族や、まだこの世に生まれていない未来の子どもたちも含まれるかもしれませんね」これを受けて土屋は、「そうなんです」と言葉を継ぐ。

「ここには、利用者の人生の成功や成長のきっかけをつくりたい、という私たちの変わらぬ想いが込められています。マイナビと関わりを持つすべての人が、『自分の可能性を開きたい』『自分の未来を信じたい』と心から願っているはず。今だけじゃない、利用する人の未来まで考えて、彼らに気づきをもたらす情報を届けなければ、そうした願いに応えることはできません」

それを受けて「実は……」と ハセンさんが秘めた想いを語り出す。「マイナビのロゴマークが、僕は好きです。自分の人生を振り返っても、この水色の曲線のように山あり谷ありで、右肩上がりではありませんでした。最近も、アナウンサーから映像プロデューサーへと大きく方向転換したばかりで、悩みもがきながら前に進んでいるところです」

ハセンさんの言葉はきっと、マイナビのサービスを利用する多くの人たちの気持ちを代弁しているに違いない。それを神妙な面持ちで受け止めたあと、土屋はパーパスができあがったときの印象を話してくれた。

「ひと目見て、すぐにしっくりきました。マイナビらしい熱量を感じたし、なによりも50年にわたって積み上げてきた歴史が、ここに詰まっていたから」

殻を破り、前例のない未知へと飛び込むこのとき。旅の羅針盤となるパーパスには、期せずして、自分たちの過去が表れていたのだろう。

まず第一に、社員がしあわせであること。

パーパスを絵空事にしないためには、それを血肉として、現場で体現する社員の存在がなにより重要だ。最後に土屋は、パーパスをともにするマイナビグループ13,000人以上の仲間のことを、熱く語ってくれた。

「社員の幸せなくして、利用者の、クライアントの、社会の幸せはありません。だからこのパーパスは、まず第一に、社員一人ひとりに宛てたものなんです。マイナビで働く人が仕事を心から楽しみ、人生が充実していないと、他者を力づけることはできませんからね」と話したあと、「社員の幸せために何ができるか? それを考え続けることが、私の使命です」とつけ加えた。

そんな土屋を、ハセンさんが弾むような声で後押しする。「ぜひその想いを、その熱を、社員のみなさんに伝えてほしいです。組織に所属する人って『経営層の考えを知りたい』と思っているもの。社長は社員の方々とコミュニケーションを取っていますか?」

ストレートな問いかけを受けて、土屋は胸の内をこう漏らす。「実はそれが一番の悩みで……。いつも目先の仕事でいっぱいになってしまって、社員との対話の時間をつくれないんです。会社の変革を目指すのなら、まずは自分から。先日、全国の社員に会いに行く活動を始めました。『マイナビの文化を変えるんだ』というわれわれ経営陣の本気度を、肌で感じてもらいたいのです」

株式会社マイナビ 代表取締役 社長執行役員

土屋 芳明(つちや・よしあき)

1963年生まれ。
1987年毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)入社。2021年12月より現職。

PIVOT株式会社

国山 ハセン(くにやま・はせん)

MC・プロデューサー。
1991年生まれ。2013年TBSにアナウンサーとして入社。
退職後の2023年1月、プロデューサーとして映像メディア「PIVOT」に参画。

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