PURPOSE STORY

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あらゆる可能性にチャレンジできる環境をつくる。

株式会社マイナビ 常務執行役員 HRセグメント セグメント長 三谷 昌彦(みたに・まさひこ)

「パーパス」ってなんだろう?

「ミッション」や「経営理念」と似ているけど、ちょっと違う。
企業と社会のつながりが欠かせない今、
ビジネスシーンで“存在意義”と訳されるこの言葉が、
多くの企業に求められている。

《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》

これは、マイナビが掲げたパーパスとともに歩く、
社員一人ひとりの物語。





コロナ禍を経て、働くことに対する意識は大きく変化した。これまで私たちが当たり前に思っていた「働く場所」や「コミュニケーションの手法」は一変している。

日本は少子高齢社会が世界でもっとも進行しており、社会を支える働き手は確実に足りなくなるという。HR(Human Resources)——「人材」に関する課題は、年々重要性を増しているのだ。

この大きな社会課題に挑んでいるのが、マイナビのHR事業だ。率いるのは、常務執行役員 HRセグメント セグメント長の三谷昌彦。2022年5月より、マイナビグループのHRサービスをけん引する立場になった。三谷は今、どのようにその課題を解決しようと考えているのか。そして、どんな世界をつくろうとしているのか。

黒字廃業が半分を占めるという現実。

柔らかい笑顔で席についた三谷は、表情とは対照的に、日本のHR分野におけるシビアな課題を語り始めた。

「生産年齢人口はピークの1995年から減少を続けていて、2030年には7,000万人を切るといわれています※1。これは、もう10年以上前からわかっていたことで、労働者が不足することが確定しているんですね。今、年間で5万〜6万社が休業・廃業・解散している。新型コロナが原因で倒産した会社は6,000社程度だったんですけど※2、その10倍ほどの会社が休業や廃業をしているということになります」

※1 出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計」。1995年の国勢調査では 8,726 万人
※2 出典:帝国データバンク『全国企業「休廃業・解散」動向調査』『「新型コロナウイルス関連倒産」動向調査』

次々と日本の現状を整理していくその言葉には、長年キャリアを積んできたからこその重みがある。

「その内の半分以上の会社が、実は黒字なんですよ。だいたいが社員5名程度の小規模な会社や、家族経営の会社。大都市圏以外の人手不足も深刻です。事業は黒字でうまくいっているのに、あらたに採用ができない、経営者の方々が高齢化して後継者がいない。それだけでも、何十兆円というGDPが日本から消えてしまうんです」

つぎの選択肢、さらにつぎの選択肢を。

生産年齢人口の不足、黒字廃業企業の増大といった社会課題を抱える日本。まず取り組むべきは「多様な働き方」を受け入れ、「多様な働き手」を生かすことだ。

日本では、一家の大黒柱がひとつの会社に身をゆだねて家族を養い、定年まで勤め上げる働き方が主流だった。しかし時代は変わり、転職を重ねてキャリアを構築していくことが当たり前になってきている。さらには、副業、独立、フリーランスなど、正社員・終身雇用ではないさまざまな働き方が浸透してきた。

働く人々も多様化している。「35歳を超えて転職するのは難しい」と言われていたのも今は昔。“人生100年時代”と言われ、40代以上のミドルシニア世代の転職市場は活況を呈している。外国人の働き手も着実に増えてきた。

「今は単線的なキャリアや人生設計の方がむしろ困難に直面する、そんな時代かもしれません。学んで、1回就職して、また学び直して、ときには転職して、副業もやって、独立して、また就職して……。退職しても、休んだら、またあたらしい仕事を始めるなど、キャリアの選択肢は増やしていった方が可能性も広がる、そんな状況です」

だからこそ三谷が率いるHRセグメントでは、「マイナビ転職」や「マイナビバイト」をはじめ、「マイナビグローバル」や「マイナビ独立」、「マイナビ顧問」「マイナビM&A」などのさまざまなサービスを展開することで、多様な働き方・多様な働き手を支えていく。あらゆる可能性にどこからでもチャレンジできる環境をつくることが、働き手のためになり、引いては日本の社会課題の解決にもつながっていくという考えだ。

「一人の『人生』という長い時間軸のなかで考えたとき、いろんな挑戦をして、つまずいても、またつぎの選択肢を得られるようなサービスを提供していきたいですね」

そう語る三谷自身も、一筋縄ではいかない“マイナビ人生”を送ってきた。

全国を飛び回り、意外な場所に落ち着いた。

1988年、三谷が入社した毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)は、社員120名程度の小さな会社だった。営業として配属された入社当時は、まだインターネットが一般に普及しておらず、東京・横浜の就職情報事業本部で、分厚い就職情報誌の営業をしていた。

インターネットが普及し始めた2000年、サービスが紙からウェブに移り変わっていくタイミングで事業推進課を立上げ全国の大学を訪問し、ナビサイトの使い方を学生に1から教えて回ったりもした。「パソコンを触ったことがない学生さんもたくさんいました。『みなさん電源は入りましたか?』『ダブルクリックのやり方はわかりますか?』『この画面になったら、ここに登録ボタンがあるので、クリックしてください』ってね」

三谷はそうやって、泥臭く活動してきた。そして、ナビサイトも成長局面に入り、順風満帆に仕事をしていたというその時期に突如、大阪への異動を命じられる。

「異動を告げられた瞬間、思わず『辞めます』と口に出してしまいました(笑)。でも、よくよく自分のことを考えてみると、飽き性なので、全然接点のなかった大阪に環境を変えてもいいかなと思って。それで行ってみたら、関西の空気がもうめちゃくちゃ肌に合って。8年半、とにかく楽しかったんですよ」

「あんまり大きな声では言えないけど」と、当時、怒られた話や苦労した話も楽しげに語る三谷は、その後、大阪を拠点に西日本各地の支社を立ち上げ、会社を成長させていく。気づけばセグメント長として、今やグループ全体で13,000名を超える会社の中枢を担う立場となっていた。

会社のパーパスを体現する存在でありたい。

三谷は今回、マイナビグループのパーパス策定プロジェクトにも参加している。10年以上前から、会社の向かう先について思う部分もあったという。

「これまでマイナビは、『とにかくナンバーワンを目指すんだ』という姿勢で事業に取り組んできました。実際に、マイナビのHRサービスは、多くの方に支持いただけるサービスへと成長できました。でも、ふと疑問が湧いてくる。マイナビが当たり前にある社会になったとき、世の中はどうよくなるんだろう? 私たちマイナビのオリジナリティや価値って何なんだろう? って」

そうした想いを持っていた三谷は、パーパス策定プロジェクトには「ワクワクしながら参加した」と笑って振り返りながらも、セグメント長としての責任感をにじませる。

「HRサービスは、正規雇用、非正規雇用領域で高校生からミドルシニアまで、また外国人、フリーランスと、多様な人、多様な働き方を対象にしています。その幅広さがあるからこそ、《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》というマイナビのパーパスをもっとも体現できるセグメントだと思っていますし、私たちがそれを実践していかなきゃいけないと、強く思っています」

日本社会が大きな課題に直面する今、マイナビに求められる役割、なかでもHRサービスが果たすべき役割は、とても大きい。

行きついた先で、あらたな可能性に出会える環境を。

最後に三谷へ、自分のキャリアに悩みや不安を感じているとき「未来の可能性に目を向ける方法」はあるのか、尋ねてみた。少し間をおいてから出てきたのは、「難しく考える必要はないんですよ」のひと言。三谷は、かつて趣味としていたカヌーを引き合いに出して、言葉を続ける。

「カヌーは縦に長いですよね。川下りをやっていて対岸に渡りたいと思っても、真横を向いて川の流れを受け止めたら下流に流されてしまう。でもカヌーを斜めにして、上流に向かって一生懸命漕いでいると、前への推進力と川の流れで、ちょうどまっすぐ行くんですよ。

それと一緒で、しんどくなったときどうするかというと、流れに真っ直ぐ立ち向かうのではなく、態勢をちょっと傾けて進むんです。行きたい方向のイメージは自分のなかに持ちつつ、流れがそっちじゃなくても、とりあえず体を流れにあずけて進んでみる。

そこで行き着くのは、もしかしたら自分が思っていたのと全然別の場所かもしれない。私の場合はそれが大阪だったんですけど。行き着いた先で、全力でやればいいんです」

誰もが思い描いたとおりのキャリアを辿れるわけではない。ときには流れに身を任せ、行き着いた先であたらしい可能性に目を向けてみる。そんなとき、働き手がそれぞれのやり方でチャレンジしやすい環境が確立されていれば、日本の労働市場はまちがいなく活性化していくだろう。

「私たちは、一人ひとりの人生に寄り添っていきますよ」と微笑む三谷は、シビアな現実の向こうに、確かな明るい未来を見出していた。

株式会社マイナビ 常務執行役員 HRセグメント セグメント長

三谷 昌彦(みたに・まさひこ)

1988年毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)入社。企業の採用支援、マーケティングなどに幅広く携わったのち、大阪支社長、執行役員関西担当、教育広報事業(現・進学情報事業)本部長、未来応援事業本部長を経て、2022年転職情報事業本部長に就任。
2022年より現職。

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