PURPOSE STORY

120

人を、企業を、社会を「健康」に。

株式会社マイナビ 取締役 常務執行役員 ヘルスケア&ウエルネスセグメント セグメント長 山本 智美(やまもと・ともみ)

「パーパス」ってなんだろう?

「ミッション」や「経営理念」と似ているけど、ちょっと違う。
企業と社会のつながりが欠かせない今、
ビジネスシーンで“存在意義”と訳されるこの言葉が、
多くの企業に求められている。

《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》

これは、マイナビが掲げたパーパスとともに歩く、
社員一人ひとりの物語。





コロナ禍で幾度も報じられた、医療現場で奮闘する人々の姿。多くの人が改めて、そうした仕事が社会を支え、私たちの暮らしと命を支えるのに重要な役割を担っていることを強く実感することとなった。

マイナビにおいて、医療・介護・福祉業界を専門にしているのが、山本智美率いるヘルスケア&ウエルネスセグメントだ。その事業は、医療を中心とした専門分野の人的課題解決にとどまらない。“ヘルスケア&ウエルネス”という名のもとには、「健康経営」など、企業経営を手助けしていく新たなサービスも含まれ、求められる役割はこれまでの枠組みを大きく越えている。

これまで数多くの事業を成長させてきた山本だが、果たして、ヘルスケア&ウエルネスセグメントのリーダーとしてどのような未来を見据えているのだろうか。

これからの日本を支える“主役”として。

“「命」と向き合う現場”。山本は自身が携わる世界を、そう表現する。

前述のとおり、ヘルスケア&ウエルネスセグメントは、マイナビの中でも医療・介護・福祉業界の人事課題だけでなく、その元となる経営課題にも向き合うセグメントだ。

「マイナビ看護師」や「マイナビ薬剤師」といった人材紹介事業、「マイナビ看護学生」や「マイナビ福祉・介護のシゴト」といった求人広告事業、看護師・介護士等の人材派遣事業など、人材採用に関わる事業を主軸に据えているが、医師向け臨床支援事業、訪問看護事業、あらゆる業界向けの健康経営支援事業……と、事業の幅はかなり広い。

まさにエッセンシャルな、社会の土台となる領域だ。SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」も、このセグメントが目指す方向の真ん中にある。山本は、強い決意をにじませながらも、落ち着いた口調でこう語る。

「世界に先んじて超高齢社会をいく日本の未曾有の社会課題に向き合い、当社が社会を良くするために何ができるかを常に考えながら、新しい事業開発を進めていきたいと思っています。私たちのセグメントのミッションこそが、パーパスの実現と同義だと感じています。」

課題は山積みだからこそ、力になれることも多い。

2020年、新型コロナウイルスが猛威をふるい、医療・介護・福祉業界における人手不足の問題を浮き彫りにしたが、これらの業界における労働人口不足は、コロナ禍のはるか前から指摘されてきたことでもある。

「医療・介護系有資格者の方々は長年超売り手市場の中にあり、転職をすることは難しくありません。だからこそ、医療・介護系法人の高い離職率は改善しづらく、人件費は採用に関わる経費を含めて大きな比重を占め、簡単に下げることができない傾向にあります。

有資格者は専門職であるがゆえ、あたらしい職場でも「即戦力として、仕上がっている人材」という前提で、求められるレベルは高い」と言う。

「職場内で『育成する』という意識や時間の余裕が醸成されづらい傾向にある業界だとは思います。常に命と向き合っている現場なので、目の前の業務が第一優先にされ、研修時間を十分に取れないといった事情もあるでしょう。また、幅広い経験を持つゼネラルな人材の不足もあって、電子カルテのクラウド化など、ITによる業務効率化や、DX等の組織変革は、一般企業に比べ進みにくい傾向にあります。我々は、長年の採用支援で培ってきた企業との信頼関係を軸に、今後は経営戦略にも深く関わり、組織変革やマネジメント、人材育成等の仕組みづくりに関わることで、持続的に離職率低下に繋げていけるよう、経営支援の受け皿を広げつつ、サポート力を深化させていくことを目指します。

本当の意味での「健康」をお客さまに。

「私たちのセグメントは、医療・介護・福祉業界の人材サービスにおいてあらゆる有資格者・専門職種の就職・転職のサポート体制を、新卒から中途、正社員だけでなく派遣社員まで、グループ全体で網羅していることは、経営戦略に関わる様々な提案をしていく上でも大きな強みだと考えています。」
さらに山本は、セグメント誕生以前に立ち上げた「マイナビ健康経営」を含め、「“本当の意味でのヘルスケア・ウエルネス”を提供していきたい」と話す。

「これまで、人材紹介業として企業に深く関わって、支援させていただく中で、人事課題だけでなく、その元となる経営課題についてのお悩みやご相談も数多く入ってきました。悩んでいない経営者はいないことを前提に、人事課題のサポートを点で終わらせず、経営課題に向き合い解決する手段として、健康経営(社員が活き活きワクワク仕事をする環境を整えることで、企業の業績は上がり、健全な経営を持続させ長寿企業となることを目指す)サービスメニューを開発してきました。」

ヘルスケア&ウエルネスセグメントは、向き合った企業の痛みを治すだけでは終われない。痛みを取り除いたうえで再発しない体をつくる。企業を健康にし、社会を健康にする、そんなことまで実現していこうとしているようだ。

どんな仕事も「経験値」に変えていく。

マイナビが掲げるパーパス《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》は2022年に策定されたものだが、山本は入社1年目から、顧客の可能性と、自分の可能性とに向き合い、未来が見える世界をつくろうともがいていた。

大阪支社でその年、唯一入った新人として、新卒採用の営業を担当した当時、世はバブル崩壊直後。100回テレアポを試みても、99回は「今年は新卒採用をしないから」と断られる。そんな状況だった。

「『電話してきても無駄だよ』と言われてしまうんです。それをただ淡々とやっていてもしんどくなってしまうので、『この99件を無駄にしてはいけない』といった気持ちが強くなっていきました。そこで1件ずつ、『いつの何時にかけて、どなたが出て、こういうことを言われた』と記録して、また後日、電話する時間帯やトークを見直しながら、本当に商談の余地がないのかどうか見極めるまで、繰り返し電話をかけてみることにしたんです。アポが取れなかった99件分も、自分の経験値に変えていく。それが私のキャリアのスタートでした」

山本は、顧客一人ひとりと真摯に向き合い続けた。その姿を見た同僚たちからもあまりの奮闘ぶりに「電話営業の山本」「ブルドーザー」などの異名がつけられたほどだという。

バスが30分に1本しかないような遠方のエリアに足を運ぶときも、度々足を運べないからこそ、その1回の商談に山本は情報という“お土産”をたっぷり携えて行った。そうした積み重ねが、大きな成果をもたらすことになった。

「2年目に景気が良くなっていって、1年目に蒔いていた種が花開いていったんです。数少ないアポでお会いできた方だけでなく、何度電話をかけても門前払いされていた方からも『今年は新卒採用するから来てくださいね』と連絡が来るようになりました。諦めずに、顧客との精細なコミュニケーションを重ねていくことで、次に顧客のためにやるべきことは見えてくる。自分の目的意識や状況のとらえ方次第で、電話営業を楽しみに変え、成果に結びつけていくことができる。1件のアポの重みとありがたみを噛みしめ、常に顧客視点をもって、戦略を練り続け、戦術を磨き続けました。1年目のこの経験は私にとって、営業としての自分の軸みたいなものができていく、とても大切な時間でした」

リーダーとして、ひとりの女性として。

山本のキャリアの続きを追いかけていくと、入社9年目の2002年には人材紹介事業の立ち上げのミッションを受け、2004年には、その責任者となる。

当初は数名でスタートした事業部だったが、毎年、前年比200%、300%といった成長を繰り返した。2007年には株式会社毎日キャリアバンクとして分社化し、社長となる(のちに本社に統合)。同事業は社員が1,000人を超えるまでに成長。マイナビグループの売上・利益を支える側になった。途中、リーマンショックという最大の向かい風を乗り越えた直後、山本は、産休・育休を取得し、再び事業責任者として復帰している。

「産休に入る際は、高齢出産かつ、責任のある役職だったので、どよめきが起こりましたね……。いろいろなことを経験させてもらいましたが、いまは『仕事』と『育児』、さらに親の『介護』をも両立できる仕組み(介護離職を無くす)を、あらゆる企業で具体的に準備していくことは、健康経営の一環としても、今後の日本に欠かせないミッションだと考えています」

彼女の豊かな経験の数々が、ヘルスケア&ウエルネスセグメントのリーダーとしての確かな強みになっていることを物語るエピソードのひとつではないだろうか。

人との出会いを感動に変える。

山本は、会社のパーパスとは別に、自身のパーパスを胸に携えているという。

“人との出会いを感動に変える。”

「人なんですよね、やっぱり」と、30年近くにわたる自身のキャリアをふり返った。

「これまで、社外では多くのお客さまのお手伝いをさせてもらい、社内でも大きな組織をマネジメントしてきました。その中で、人と人との出会いを起点に、沢山の変革を生み出すことに注力してきました。人と人の出会いによって、パートナーシップやチームは始まり、やがて洗練された組織となって、大きな難題を解決する道筋が描かれる。無から1が生まれる瞬間は、感動的とさえ言えるほどです。そんな変革を創出しつづけたいという思いが、いつも胸にあります。ひょっとしたら、社内で誰よりも強く『会社は人だ』と思っているかもしれませんね」

1つひとつのアポイントを一心不乱に取り続けた若手時代から、彼女がやってきたのは一貫して「人との出会いを感動に変える」ことだった。その姿勢はいまも変わっていない。命と向き合う現場をはじめとして、働く人と組織に深く関わり、人の成長と組織(法人・企業)の成長が、共に持続的に促進されるための「きっかけ」となる種をまき続けている。その種が芽吹くとき、私たちの社会はどう変わっていくのか。感動的な景色が広がっていることを、きっと彼女は確信している。

株式会社マイナビ 取締役 常務執行役員 ヘルスケア&ウエルネスセグメント セグメント長

山本 智美(やまもと・ともみ)

1994年、毎日コミュニケーションズに入社(現・マイナビ)。就職情報事業本部 営業6年、出版事業本部 広告営業・編集3年担当。
2002年から紹介事業の立ち上げに携わる。2004年事業責任者に就任。2007年分社化、毎日キャリアバンク社長に就任。2012年合併後、2016年取締役就任。
2020年取締役常務執行役員へ。2022年にヘルスケア&ウエルネスセグメント セグメント長就任。中学生の子どもを持つワーキングマザー。

マイナビジョン > PURPOSE STORY > 人を、企業を、社会を「健康」に。
120