PURPOSE STORY

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キャリアの1歩目に寄り添う「My CareerStudy」。

株式会社マイナビ キャリアデザインプロダクト推進事業部 事業部長 三枝 靖明(さえぐさ・やすあき)

「パーパス」ってなんだろう?

「ミッション」や「経営理念」と似ているけど、ちょっと違う。
企業と社会のつながりが欠かせない今、
ビジネスシーンで“存在意義”と訳されるこの言葉が、
多くの企業に求められている。

《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》

これは、マイナビが掲げたパーパスとともに歩く、
社員一人ひとりの物語。





マイナビが提供するあたらしいサービス「My CareerStudy」。キャリアについて学びながら、企業と学生のあらたな出会いを創出する、業界でも例を見ないキャリア学習サービスだ。「キャリアに関する学び」という切り口で、企業はオンライン講座の提供やイベントの開催で学生とコミュニケーションを図り、学生はこれらのコンテンツを享受することでキャリアについて基礎から学びを深める。

旗振り役となったのは、キャリアデザインプロダクト推進事業部。「Career」について「Study」するとは? その価値と意味について事業部長を務める三枝靖明に聞いた。

自分は何が得意か? 何に興味があるのか?

「就活のカギは“自己認知のタイミング”にあると思うんです」

キャリア形成の第一歩となる就職活動を納得いくかたちで終えるための秘訣を尋ねたところ、三枝はこう答えた。

「一般的に、多くの大学生が本格的に就活を始めるのは3年生の終わりごろ。来たる本番に備えて、3年生の春ごろからインターンシップに参加し、企業研究を進めていきます。近年のデータ(※)によると、インターンシップ・仕事体験の平均社数は1人あたり5.2社。キャリアの第一歩を決断するには、企業との接点があまりに少ないと思いませんか?」

(※)出典:マイナビ2024年卒 大学生 広報活動開始前の活動調査

学生の多くは、就活が始まるまでの約1年という短い期間でインターンシップに参加する。学業や課外活動にいそしみつつ、多くの企業と接点を持つのは難しいのが現状だ。

「誰しも、人より長けている部分がありますが、その棚卸しをみずからの手できちんとできている人は意外に少ないと感じます。できるだけ早いタイミングで自分は何が得意か、何に興味があるのかを知り、自己認知を深めておく。さらにこれから飛び込む世界を広く知っておけば、キャリアの可能性はもっと広がるのではないでしょうか」

知的好奇心が苦手意識に勝った。

「そういう僕も、学生時代はスポーツばかりで視野は狭かったと思います」と、三枝は自身の過去を振り返る。小学生からバドミントンに熱中する生活を送り、気づけば大学4年生。卒業後を見据えたとき、急に不安になったという。体力しか取り柄のない自分がこのまま社会人になれるのか、何か社会で役立つスキルを身につけなければ。そう考え、Webデザインと編集を学べる専門学校に通い始めた。

「大学時代はパソコンが苦手でした。最初は電源のつけ方すら分からないほどで(笑)。ところが、インターネットにはじめて触れたとき、これまでにない衝撃を受けたんです。アメリカにいる友だちと瞬時につながることができて、タイムラグのないコミュニケーションがとれる。なんてすごい体験なんだと」

当時の興奮を思い出したように、三枝はやや早口で続ける。

「デザインには以前から興味があり、そこにインターネットへの衝撃が重なって、専門学校への入学を決意しました。何かに興味を持って自律的に学びへの一歩を踏み出したのは、あれがはじめてでしたね」

卒業後は、Webデザイナーとしてキャリアを積んだ。しかし、そこでまた苦手なものに遭遇する。システム部門とのコミュニケーションだ。

「デザイナーとシステムエンジニア、扱う言語もモノを見ている角度も異なるのでコミュニケーションが噛み合わないことは多々あります。とはいえ、サービスを構築したい、こういう体験を利用者に提供したいという場面で、システム部門との打ち合わせは避けられません。苦手だからと線を引くのはよくないと思い、みずからシステムとプログラミングの勉強を始めました」

知識が身につくにつれてシステムエンジニアとのコミュニケーションは変わり始め、“話が通じる奴”という信頼も得るようになった。そして2006年、デザイナーとしてではなく、システム職としてマイナビに入社する。

「パソコンもシステム部門とのやりとりも、苦手と避けていたわけですが、僕はこれらを努力によって克服したとは思っていません。プログラミングを学び始めたのは、自分が知らない世界に対する好奇心によるところもありました。もともと持ち合わせていた好奇心が、苦手意識に勝ったのかもしれません」

三枝が自己を認知したうえで、好奇心にかき立てられて自身の可能性を広げるきっかけとなったできごとだ。

キャリアのスタートを切ろうとする学生たちも、柔軟に、自分らしく可能性を広げてほしい。そんな想いと経験を持つ三枝が責任者を務めるキャリアデザインプロダクト推進事業部が発案したのが、マイナビのあたらしいサービス「My CareerStudy」だ。

カジュアルなところからスタートすればいい。

学生と企業のあらたな出会いを創出するMy CareerStudy。学生は、サイトを訪れることで、企業の実践的な講座を受けたり、企業が主催するセミナーやワークショップなどのイベントに参加したりすることが可能だ。また、キャリアデザインそのものや社会人基礎力をアウトラインから体系的に学べる動画も用意されており、キャリアに関するさまざまなコンテンツに触れることができる。

My CareerStudy

「一般的な就活サイトとは異なり、大学1、2年生のころから利用してもらうことを想定しているのが、My CareerStudyの特徴です。就活が本格化する時期にはじめてキャリアを模索するのではなく、もっと早いタイミングで自己認知が深められ、働くことや、就活についての全体像が見渡せる、そんな場を提供したいと考えています。理想としては、自分自身のキャリアに対する考えが明確になり、自分にマッチする職業や企業もわかる。自ずと学生と企業のマッチング精度も高まるという好循環を生みたいと考えています」

売り手市場といわれる現在の就活市場。My CareerStudy は、学生にとって馴染みの薄いBtoB企業などが、自社を発見してもらう機会にもつながる。とはいえ、今の大学生は忙しい。「数年先の自分のために早めに行動を」と言われたところで、なかなか重い腰が上がらないことも三枝は承知のうえだ。そのハードルを下げるには、どのような入口が必要なのだろうか。

「My CareerStudyでは“人で探す”という導線も設けます(※)。学生たちは、企業側が提供する社員のプロフィールなどをもとに憧れの社会人を1人見つけてみる。そんな気軽なところからスタートすればいいと思います。ロールモデルが見つかれば、就活までに自分が何をすべきかも見えてくるはず。働くことの全体像も明らかになっていくでしょう」

(※)10月中旬予定

人生100年時代を生き抜く基礎をつくってもらいたい。

キャリアデザインプロダクト推進事業部の前身となるセクションが立ち上がったのは2021年。発足にあたり、三枝は社内を回ってできるだけ多様なキャリアやバックグラウンドを持つメンバーを集めたという。

「辿ってきた道が異なれば、その分、視点も多種多様になります。学生はこう考えている、キャリアとはこうあるべきといった頑なな考えではなく、さまざまな価値観を柔軟に取り入れながらサービスをつくっていきたかったんです」

お互いを尊重し合えるチームをつくり、そこで生み出したサービスを通じて利用者の幸福に寄与すること。それこそが、三枝個人のパーパスだ。

「なりたい姿を描いてそれに合う企業を探す方が、就活を終えてから抱く納得感は高いはず。僕たちは、学生の可能性や個性を大事にする人にサービスを届けたいし、そういった意識を持つ人を増やしたいと考えています。My CareerStudyのコンテンツを活用して、人生100年時代を生き抜く基礎をつくってもらえたらうれしいですね」

全体像をつかむことで、何をすべきかがクリアになる。

現在、キャリアデザインプロダクト推進事業部では、マイナビが出資する「知るカフェ」との協業を進めているという。知るカフェとは、学生と企業が気軽に交流し、お互いを「知る」ための大学生・大学院生限定のカフェのこと。全国各地の大学に設置されており、学生はWi-Fi やドリンクを無料で利用することができる。運営も学生が行っているというから驚きだ。

「知るカフェには知的好奇心の強い学生が多く集まっており、そのような学生とMy CareerStudyとの親和性は高いと思います。知るカフェと一緒にキャリア育成に関するスキームをつくり、“ちょっと先の未来”について考える学生を増やしていきたいです」

最後に、社会人になって実感したもっとも大切なスキルは何か、と質問してみた。考えたのち、三枝は「全体を知ろうとすること」だと静かに答える。

「たとえば、赤と青と緑の紙が散らばっていて、あなたは赤を拾ってくださいというミッションを課されたら、赤しか集めませんよね。でも、『落ちているものを拾って、その場所を広くする』ことが目的だと知っていれば、赤を拾い終わったあとにほかの色の手伝いをするかもしれません。全体像をつかむことで、何をすべきかがクリアになる。これってキャリアにおいても同じだと思うんです」

全体を知ることとはつまり、目の前に課されたことの意味を、本来の目的にもとづいて理解すること。My CareerStudyは、就活というキャリアのファーストステップに臨む姿勢や意識の変容を促すサービスなのかもしれない。

自分の得意なことは何か。何に興味があるのか。社会ではどんなスキルが求められるか。働きたい企業ではどんな人が活躍しているか。どうしたら自分も活躍できるか。全体像をつかむための、パズルのピースのようなサービスを提供すべく、三枝は今後も多様なメンバーとともに一人ひとりの幸福を追求していく。

株式会社マイナビ キャリアデザインプロダクト推進事業部 事業部長

三枝 靖明(さえぐさ・やすあき)

2003年にデザイン会社に入社。SIer系企業で情報アーキテクトの経験を積み、 2006年にマイナビへ入社。以来、就職情報サイト『マイナビ』のシステム開発や学生サービスの企画・運用に従事する。
並行して、2021年にクロスファンクショナル組織としてMy Career事業準備室(現 キャリアデザインプロダクト推進事業部)を立ち上げ、2023年に『My CareerStudy』と『My CareerID』をリリースした。

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