PURPOSE STORY

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選ばれる日本になるために「歩み寄る 背中を押す」。

株式会社マイナビグローバル 代表取締役社長 杠元樹(ゆずりは・もとき)

「パーパス」ってなんだろう?

「ミッション」や「経営理念」と似ているけど、ちょっと違う。
企業と社会のつながりが欠かせない今、
ビジネスシーンで“存在意義”と訳されるこの言葉が、
多くの企業に求められている。

《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》

これは、マイナビが掲げたパーパスとともに歩く、
社員一人ひとりの物語。





日本における構造的な人手不足の解消として、外国人採用への期待が高まっている。

外国人労働者はすでに180万人(2022年10月末)を超え※1、全労働者人数の3%に達した。政府方針と合わせて、「外国人労働者の活躍」は、日本の労働環境を支える前提となっているのだ。

この重要かつあらたな課題に向き合うのが、マイナビグローバル。マイナビグループ内における外国人材採用領域を担う専門事業会社として、2019年4月に設立された新組織だ。率いるのは、マイナビに新卒入社して以来、1,000社以上の採用支援を行ってきた杠元樹。マイナビらしさを携えて、あらたな課題解決、あらたな組織づくりのあり方に迫る。


※1 出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)

外国人材の価値が認められ、定着してほしい。

外国人材領域に特化した人材紹介会社の代表者と聞くと、さぞかし海外志向が旺盛な人物を想像するのではないだろうか。

「いえ、特にそういうわけではありません。英語も話せませんでしたし、たまたまこういう場所にたどり着きました。でも今思うと、マイナビでは採用支援を軸に、海外の事案や新規事業などのプロジェクトに声をかけられることが多く、たくさんのチャレンジをさせてもらってきました。あたらしいことに取り組むのは、たしかに好きですね」

キャリアの初期から杠は、日本人の海外大学留学生の就職支援や、外国人留学生採用支援企画の推進に従事してきた。

「今でこそ、日本人の海外大学進学者や外国人労働者に注目が集まっていますが、当時は今ほど、企業にその価値が認識されていませんでした。国内の新卒や中途、アルバイトの採用など、価値をあらためて説明をする必要がない領域と比べて、『企業に価値を理解してもらうのはなんて難しいんだろう』と感じましたね」

その後の杠は、2016年には当時マイナビが展開していたインバウンド事業の事業部長に就任、2018年にはマイナビグループの東南アジア海外拠点設立といった海外事業に携わる。マイナビとしても、後発気味であった海外事業を推進したい考えはあったが、変化のスピードが激しい海外マーケットに対応するためには、より小回りが効いて柔軟に対応できる組織が必要と判断。2019年にマイナビグローバルが設立された。

「特定技能外国人をはじめ、外国人材の就労支援を行うのが、マイナビグローバルの大きな役割です。事業を進めるうえでは、『外国人材の価値を企業に認識していただくこと』に加え、『定着』までを追求することを意識しています。というのも、長く採用支援に関わってきて、『人材の定着』があってこそ、企業に本当の意味で『外国人材の価値を認識してもらう』ことにつながると痛感していたからです。特に、外国人留学生や外国人労働者といった日本企業が不慣れな人材が、定着せずすぐに辞めてしまったら、その価値を正しく認識するまでに至らず、つぎにもつながりませんから」

必要なのは、外国人材と日本企業の「歩み寄り」。

2019年のマイナビグローバル設立には、同年に日本で導入された在留資格「特定技能」制度の存在も大きい。

この制度は、人手不足の解消と、以前からあった「技能実習」の課題解決を目指して始まり、間もなく4年が経つ。これからの日本企業は、外国人材とどのように向き合っていくべきなのだろうか?

「多様性を受け入れる社会を目指す風潮のなかで、『それでも日本のマジョリティに近しい人材を確保したい』という企業の要望は根強く、外国人雇用に苦戦したり、ためらったりしているケースは相当あります」

これまでに杠は、日本企業の一部に、外国人材に対して「安く雇用できる」「日本社会になじめない」「文句ばかり言う」「すぐに辞めてしまう」といった思い込みがあることを目の当たりにしてきた。そして、「日本人であってもすぐに辞めてしまう人はたくさんいるわけで、それは安易な発想です」とまっすぐに指摘する。

「外国人労働者が増加するなかで、その層も多様化してきています。もはや一括りに『外国人』と形容するのは難しいですよね。それも日本人と同じで、真摯な態度で働く人もいれば、『すぐに給与を上げてほしい』『日本語を勉強したくない』『東京に住みたい』といった態度で働く人もいます。外国人の人権確保は大前提ですが、これからは外国人自身が成長し、自立することが求められると思います。そして外国人を受け入れる日本企業も、彼らに変化を求める以上に、自分たちが変化することが重要です」

そんな課題感を持つマイナビグローバルは、マイナビのパーパスを自分たちの事業に落とし込んで「歩み寄る 背中を押す」というミッションを制定した。それにもとづき同社は、人材紹介はもちろん、外国人材と日本企業との「互いの歩み寄り」を支援することにも同等、いやそれ以上のパワーを割いてきた。

「具体的には、雇用をする企業側の理解を促進させるための情報サイト『外国人採用サポネット』の運営、受け入れる現場社員向けの研修プログラムの提供、企業向けの無料支援セミナー、年間200回近く以上開催する留学生や技能実習生向けの日本就職支援ガイダンス、特定技能試験対策講座、入社前の無料新入社員研修の実施などを行っています。これらの取り組みにおいて大事にしているのは、外国人労働者の価値を伝えるとともに、失敗した事例も紹介すること。双方が実際に働き始めてからギャップを感じることなく、職場に定着できるよう、できるだけ実情を伝えることを心がけています」

「選ばれる日本」になるため、今何ができるか。

マイナビグローバルが注力する、外国人労働者の自立支援、受け入れ企業やそこで働く日本人社員のマインドの変化を促す取り組み。それらは実のところ、特定技能制度において、人材会社に求められる「登録支援機関」としての義務の範疇を、はるかに超えている。

「競合他社に比べて後発になった分、クライアントが求める以上のことを泥臭く必死に提供する、マイナビの創業時から根づいてきた姿勢を、外国人材領域のサービスにも生かしてきました」

その結果、特定技能制度の登録支援機関に参画して4年、マイナビグローバルは約2,000人の外国人材を支援してきた。国内の派遣事業の規模感と比べると少ないように感じるが、業界では大きな数字だ。

「先ほど申し上げたように、一括りに外国人労働者といっても個性はさまざまです。ただ、国ごとの文化的背景の違いによって、ある程度労働観の傾向があることも分かってきました」

たとえば日本人が「それをやっといて」と言った場合、外国人が“それ以外”をやらないことで、もめることがある。しかし海外では、明確に指示されていない仕事をやってしまうことは、ほかの誰かの仕事を奪うことになるというとらえ方もあるのだ。

「世界的な人材獲得競争が激化するなかで、『選ばれる日本』になることはもはや緊急のテーマです。一番訴求できるのは給与体系ですが、就業後すぐに条件を良くすることはできないでしょう。そこで、寮を会社の近くにおくなど、福利厚生で補ったり、国が外国人材労働者の年金加入の要件を緩めたりするなど、少しでも外国人材の待遇を良くする必要があります。私たちマイナビグローバルの事業を通じて、外国人材と日本企業の相互理解を促し、『日本で働きたい外国人を増やす』『受け皿となる企業を増やすこと』を実現したいですね」


マイナビらしさを、新チームで体現する。

外国人労働者政策は、国の有識者会議の答申や関連法案の改正などの複雑な要素が絡み合う。同時に、外国人労働支援についても刻々と変わりゆく状況への対応が、マイナビグローバルのチームには常に求められてきた。

「事案によって、社内のチーム編成はスピード感をもって変えていく必要があります。しかし、メンバーはそれを前向きに受け入れ、状況ごとの仮説と検証を繰り返しながら、外国人材支援に関するさまざまな課題に、ともに挑んでくれました」

「『毎日コミュニケーションズ』という名前で、まだ社員が500名程だったころからマイナビを知っていますが、現在約70名が在籍するマイナビグローバルは、当時から続くマイナビらしさを体現している組織じゃないかと思うんです。ベンチャーな組織ゆえに、いつも市場やクライアントの方を向いて、メンバーそれぞれできることを探して主体的に取り組んでいるといいますか。若手のころの私も、何かやりたそうな顔をしていたから、色んなプロジェクトに声がかかったんだと思います」

マイナビの良さを受け継ぎながらも、マイナビグローバルは多様な人材が活躍するあらたな組織として成長している。

「外国人比率は43%、女性比率は65%で、マイナビから異動した人もいれば、まったく違うバックグラウンドから合流してきた人もいます。メンバーの国籍は約10カ国で、色んな文化背景を持つメンバーがいるため、グローバルスタンダードに則りつつも、落としどころを探りながらチームビルディングしています」

「異なる文化を持つ同僚たちへの想像力を持つことで、組織全体が健全になった」と、杠は胸をはる。「外国人材の定着率が高い企業は、日本人の定着率も高いという傾向があります。外国人が働きやすい企業は、日本人にとっても働きやすい企業になる。どちらも笑顔になれる、そんな社会がつくれたらいいですね。そのために私は、これからも外国人材と向き合っていきます」とも。

マイナビグローバルが見つめる、外国人労働者一人ひとりの可能性。そこから見えてくる日本の未来はきっと明るい。

株式会社マイナビグローバル 代表取締役社長

杠元樹(ゆずりは・もとき)

2004 年、毎日コミュニケーションズ(現マイナビ)入社。 採用支援コンサルタントとして、日本を代表する大手企業からベンチャー企業まで 1,000 社以上の採用支援を行う。
これまでに、「マイナビ国際派就職EXPO」「ニューヨークJOBSESSION」(日本人の海外大学留学生プロジェクト」「外国人留学生セミナー」(外国人留学生採用支援企画)の企画・推進に従事。2016年にはインバウンド事業の事業部長として、主に中華圏の訪日外国人観光客をターゲットにした日本の情報発信メディアを立ち上げる。
2018 年よりマイナビグループの東南アジア海外拠点設立に関わると同時に、2019 年にマイナビグローバルを設立、特定技能外国人をはじめ外国人材の就労支援を行っている。

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