どんな仕事も楽しみ、誰かに影響を与えたい。
「パーパス」ってなんだろう?
「ミッション」や「経営理念」と似ているけど、ちょっと違う。
企業と社会のつながりが欠かせない今、
ビジネスシーンで“存在意義”と訳されるこの言葉が、
多くの企業に求められている。
《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》
これは、マイナビが掲げたパーパスとともに歩く、
社員一人ひとりの物語。
「メディアを通して人に影響を与える仕事がしたい」。熊本県で生まれ育ち、そんな想いを持って就職活動を続けてきた犬童翔子は、2007年にマイナビに新卒入社した。
キャリアの入り口こそ営業だったが、今ではパンフレットや動画といった採用ツールの制作に加え、さらには数千人が集まる大規模イベントの運営にも携わる。福岡支社の九州企画運営2課で課長を務める現在は、マネジメントも彼女の重要な役割だ。
さまざまな業務を任されてきた犬童が大事にしているのが、「何でも楽しむ」精神だという。どんなことにも興味を持って取り組み、おもしろさを見出していくその姿勢にこそ、彼女にとっての“パーパスの種”が隠れていた。
営業で学んだ、お客さまに寄り添う姿勢。
熊本県出身の犬童は、新聞やテレビなどのメディアに憧れを持って就職活動を開始した。本や記事を読んで、さまざまな影響を受けたことから、自身が手掛けた制作物を通じて誰かの人生によい影響を与えたいと考えたのだ。
そこで、就職活動中にたまたま目に止まったことをきっかけに応募したのが、「広告」をメインで扱うマイナビ。ここならやりたいことが実現できるかもしれないと期待を抱き、2007年にマイナビに入社、熊本支社の新卒情報事業の営業職からキャリアをスタートさせた。
「新卒社員の多くは営業に配属されると聞いていたので、心構えはありました。当然、第一志望は制作でしたが、社会人としてのスキルを身につけるには、一度は営業を経験しないといけないだろうという思いもありましたね」
はじめての電話営業には苦労したが、「業務を通して学べたことは多かった」と、犬童は振り返る。
「上司指導で印象的だったのは、『相手に興味を持たなければ売れない』という言葉です。確かにそのとおりで、相手に興味を持って、寄り添いながら話を聞き、相手の困りごとを理解してこそ信頼関係が築かれますし、売上という形でお客さまからのご評価にもつながります」
相手に伴走することを徹底した先で、営業としてのやりがいを感じられた場面も少なくはなかった。
「6年間担当したお客さまから『犬童さんが担当して採用できた社員が、今すごくがんばっているよ』とお聞きしたときは、非常にうれしかったです。これが営業職の醍醐味なのだろうと思いました」
アイデアが詰まったツールで採用を後押しする。
入社から6年間営業職を務めた後、2012年に制作進行課へ異動が決まった。同時に熊本支社から福岡支社へ移り、北部九州のエリアを担当するように。ようやく切望していた制作のステージに立つことになったわけだ。
「入社以来、制作に携わりたいと主張していた私にとって、待望の異動でした」
当時、制作進行課は「マイナビ20××」と呼ばれる新卒サイトの進行業務と「個別制作物」と呼ばれる採用ツールの提案・制作を担当していた。なかでも採用のためのツールは、ホームページやパンフレット、動画、ノベルティグッズ、イベントブースの装飾など多岐にわたり、それぞれ異なる知識が求められる。
「営業しかやっていなかったので、最初はわからないことだらけでしたね。同僚や上司など、まわりのみなさんに教えていただきながら、実作業を通して学んできました」
幅広い学生に興味を持ってもらうには、採用ツールにも創意工夫が求められる。
「例えば、認知度が低いという課題があった薬剤師の募集では、薬剤師の働き方を紹介したマンガを、ダイレクトメールで学生に送りました。4度に渡って実施したところ、説明会で『マンガを見ました』という学生がいたよ! という声を企業さんからいただいたこともありました」
また、自社初の採用動画を制作したある企業は、その内容に大満足し、社員全員に動画を収めたDVDを配ったという。採用ツールが社員のモチベーション維持にも役立っている好事例だ。
犬童が現在担当する福岡・佐賀・長崎は、エリアによって学生の意識にバラつきが見られる。都市部の福岡は地元で就職したい学生が他県よりも多い。一方、佐賀や長崎には地元での就職を希望する学生が少なく、新卒採用がより難しくなる。
「九州は各県にネームバリューのある企業があり、そういった有名な企業であれば地方でも自然と学生が集まります。ただ、中小企業だと努力してアクションを起こさないと新卒採用が厳しい状態です」
社会全体での人手不足も相まって、求人案件数に対して学生数が不足しているのは明らかだ。学生の認知度が低い企業は、募集をおこなっても採用数がゼロということも少なくない。そこで、犬童らが制作に携わる採用ツールが重要となる。
「採用サイトやパンフレットをつくったことがない企業もまだまだあります。そういった場合は、まずその企業にどんな魅力があり、何を求めているのかを探ります。そのうえで採用ツールがいかに重要であるかを伝え、お客さま企業にもっともマッチするツールを提案しています」
こうして試行錯誤を繰り返しながら福岡での4年間を過ごし、2016年には熊本企画運営課に異動。熊本エリアの制作業務に加えて、就職イベントの企画・運営も担当することになった。その後、2020年に再び福岡支社に戻ってから現在に至るまで、制作業務は犬童にとって大切な仕事であり続けている。
イベントを通じて、企業の魅力を直接伝えていく。
一方、2016年から犬童が携わっているイベント業務は、「使う脳が違う気がする」という。こちらでは、魅力的な企業と学生が直接出会うマッチングの場を、いかに提供できるかが求められる。マイナビが開催する合同企業説明会は、九州全体では年間約90本に及び、そのうち犬童が所属する九州企画運営2課が関わるのは、約30本。毎月、さまざまなイベントが走っている状態だ。
「大きなものだと、福岡で開催される大型の合同企業説明会『マイナビ就職EXPO』ですね。九州全域や山口から会場までの無料送迎バスを運行していることなどもあり、2日で約7,000人の学生に来場いただいています。九州エリアでの就職を望む学生には、参加マストのイベントとして認識されるようになってきているかなと」
参加企業にとって合同企業説明会は、学生と直接話ができる格好の機会となる。
「合同企業説明会は学生を目の前にして、自社をアピールできることがメリットです。『公には言えないけれど、実は誰もが知るような有名企業のものづくりを支えています』などといった、対面でなければ伝えられないこともありますから。それを聞いて学生の気持ちが前向きに動くことも、きっとあるはずです」
このとき、犬童が担当した採用ツールが学生の目に触れ、効果を発揮することもあるという。当時は制作に専念したいという思いもあったが、「イベント業務もやってみるとおもしろさが見えてきた」そうだ。
「あたらしいことに対して好奇心が湧きやすいタイプなのかもしれません。はじめの営業は、望んだ仕事ではなかったものの、やってみたらやりがいを見つけられました。イベント業務もまた然りで、広報の工夫で学生の来場者数が増えたり、企業や学生の反応をリアルに感じることができたりと、、制作とは違った魅力があります」
どんな仕事にも、興味を持って楽しむ。
未知の業務に対しても、手探りで最適解を見つけていく。これまでの仕事で学んだその姿勢は、コロナ禍で大いに役立った。一時は開催中止となった合同企業説明会を復活させるにあたり、リアルイベントと同時に、会場内でWebのライブ配信も行うハイブリッドイベントを実施することになったのだ。
「ハイブリッドでやるという方針が決まったものの、実現するための具体的な方法は自分たちで見つけるしかない状態でした。誰もやったことがなく、何が正解かまったくわからないなかで、『イベント会場で配信をするためにはどうすればいいんだろう?』とチーム全員で一つひとつ探りながら進めていきました」
結果として大きな回線トラブルなどもなく、イベントは無事終了した。「正直、大変だったことしか覚えていない」と苦笑いしつつも、最終的にはやり抜いてみせた犬童。
「ツラい、キツいと思うことはあります。でも、せっかくやるなら単純に楽しんだほうがいいだろうと。淡々とこなすより、常に興味を持っておもしろさを見出そうと思っています。その結果、周囲の人たちによい影響を与えられることが一番のやりがいです」
現在、犬童は九州企画運営2課の課長として、4名のメンバーのマネジメントも務めている。一人ひとりの特性を見ながら、可能性を引き出すようなコミュニケーションを心がけているという。その成果が実り、課は2023年度の全社顕彰で見事、チーム賞(金賞)を受賞した。
「お客さまと接するときと同じで、まずは目の前の相手に興味を持って、理解するところから。それは、マネジメントであっても変わりません」
最後に、自身のパーパスについてたずねてみると、「パーパスってなかなか難しいですね」と率直な答えが返ってきた。持ち前の好奇心の強さやマルチタスク能力を生かして、次々とあらたなミッションに挑んできた犬童なら、この先ステージが変わることがあっても、未知なる業務をポジティブに楽しみ、周囲によい影響を与えていくだろう。彼女にとっての“パーパスの種”が芽吹く日は、きっとそう遠くはないはずだ。
株式会社マイナビ 就職情報事業本部 キャリアデザインセグメント企画運営第2統括本部 中四国九州企画運営統括部 九州企画運営部 九州企画運営2課
犬童 翔子(いんどう・しょうこ)
2007年株式会社マイナビ入社。入社後は熊本営業所(現・熊本支社)にて新卒情報事業の営業職に6年間従事。数多くの企業様の採用戦略に携わる。2012年4月、九州制作進行課への異動となり、福岡支社にて「マイナビ20xx」の制作や新卒採用ツールの制作業務に従事。
2016年4月熊本企画運営課に異動。熊本エリアの制作進行業務に加えて、就職イベントの企画・運営にも従事するようになり、2020年4月に福岡支社へ異動。現在に至る。