PURPOSE STORY

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あらたな領域で「ともに、たくさんの働くをつなげる」。

株式会社マイナビ エージェントサクセス事業部 事業部長 「マイナビスカウティング」責任者 吉澤 伸吾(よしざわ・しんご)

「パーパス」ってなんだろう?

「ミッション」や「経営理念」と似ているけど、ちょっと違う。
企業と社会のつながりが欠かせない今、
ビジネスシーンで“存在意義”と訳されるこの言葉が、
多くの企業に求められている。

《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》

これは、マイナビが掲げたパーパスとともに歩く、
社員一人ひとりの物語。





2024年1月、マイナビからあたらしい転職サービスがリリースされた。30〜40代、年収600万円以上のミドル・ハイクラス層に向けた、「マイナビスカウティング」だ。

責任者を務めるのは、吉澤伸吾。転職情報事業本部で15年のキャリアを積んだベテランだが、ゼロからの事業立ち上げを率いるのははじめての経験だという。

マイナビとしても、ミドル・ハイクラス転職の領域に乗り出したのは今回が初となる。前例のない事業を、吉澤はどのように切り拓いていくのか。顕著な労働人口の減少という社会課題を前にして、抱いた使命感とは。

これまでとは違う世界・立場で、新サービスを展開する。

「事業部長への就任を告げられたのは、配属日のわずか2週間前です。急転直下のできごとで、まさか自分が……と思いました」

吉澤は、苦笑とともにこれまでを振り返る。

「マイナビには2005年に中途入社しました。前職の住宅メーカーでは新卒採用のリクルーターを経験し、採用に関わる仕事に興味をもったのがきっかけです。2007年には転職情報事業本部に異動し、法人営業職を6年、転職イベントや採用代行などの企画運営を8年担当してきました」

当時の転職情報事業本部のなかには事業部内事業部が存在しており、2021年に「エージェントサーチ事業部」の事業部長に選ばれたのが吉澤だった。

「マイナビのクライアントは大部分が人材の募集・採用を行っている企業ですが、エージェントサーチ事業は転職エージェントさんとのお付き合いがメインで、同じ市場ではあるもののビジネスモデルが異なります。事業部長を務めるなんて、自分には縁がないことだと思っていたくらいなのに、急にこれまでとは違う世界で正直、戸惑いましたね」

そう語る吉澤だが、事業部長に就任するなり大きな一歩を踏み出す。それが、既存の「マイナビ転職エージェントサーチ」を、新サービス「マイナビスカウティング」としてリブランディングするプロジェクトだ。

よりスピード感をもってプロジェクトを進めるため、2022年10月には事業部の名称を「エージェントサクセス事業部」と改め、転職情報事業本部から独立。40名弱という少数精鋭のメンバーでリブランディングに取り組み、2024年1月、晴れてサービスのリリースを迎えた。

「2040年には労働人口980万人減少」に衝撃を受けた。

マイナビスカウティングは、30〜40代で年収600万円以上のミドル・ハイクラス人材にターゲットを絞った転職サービスだ。

「キャッチコピーは『今よりいい働き方を、今よりいい待遇で』。実はこの層に向けたサービスはマイナビにとってはじめてですが、業界的にはすでに競合が多い、レッドオーシャンです。後発のため飛び込むことに対して不安がないとは言えません」

マイナビスカウティングがターゲットとする年代にとっての“当たり前”は、転職しても1回、多くともせいぜい2回。定年まで働く会社は20〜30代の内に見つけるもので、リタイア後の働き口はシルバー人材センターなどで探す、というものが主流だった。しかし、こうした時代は終わりを迎えつつあり、ミドル・ハイクラス層の転職市場は活発になっている。そうした状況を外から眺めていても仕方がないと思い、サービス展開を決心したのだという。

マイナビキャリアリサーチラボのレポートによると、2040年の労働人口は現在より980万人近く減少すると見られている。それに伴い、より幅広い層の労働力を確保することが求められている。

「レポートを読んで愕然としました。このままでは採用市場が回らなくなり、日本社会が大きく変化するのは明らかです。私たちの役目は、求職者に多様な働き方を提示すること。リリースからしばらくは正社員への転職サポートがメインになりますが、ゆくゆくは副業やフリーランス、起業・顧問など、豊富な経験とスキルを長く・幅広く生かせる働き方の実現にも寄与できればと思っています」

マイナビらしい「寄り添いの姿勢」を大切にしたい。

「マイナビスカウティングを立ち上げるにあたり、転職者のインタビューからはじまり、ターゲットの選定、サイトの改修、転職エージェントや採用企業のダイレクトスカウト、企画、プロモーションとあらゆる業務に携わってきました。陸上で例えるなら、10種競技をやっているようなものですね。事業部長という立場なので競技そのものを何にするかからすべて決めなければいけませんが、新米ですので知見ある各競技の担当メンバーと一緒に進めています」

サービスのリリースに合わせて、テレビCMの放送も始まった。「CM制作に携わったのははじめて」という吉澤にとって、ここにたどり着くまでの道のりは平坦ではなかったという。

「CMのつくり方も、代理店とのやりとりの仕方も何もかもがわからなくて、終始『本当にこれが正解なのだろうか』と悩みました。そして、競合が多いなかでターゲットをどこに設定するのか、届けたい温度感をどうすればコピーで表現できるのか。難しい課題がたくさんありましたね」

ライフステージが変わる30~40代は、給与だけでなく、どこで働くか、誰と働くか、どんな働き方をするかなど、さまざまな価値観にもとづいて転職先を選ぶ。悩み抜いてつくり上げたCMは、そんなターゲットにマイナビらしい“寄り添い”の姿勢でメッセージを届けるものに仕上がった。

マイナビスカウティング

「手探りでしたが、精いっぱいやりきりました」と遠慮がちな笑顔で語る吉澤からは、迷いながらも一つひとつの意図を丁寧に吟味し、着実に積み重ねることで道を切り拓くという、彼らしい姿勢がうかがえる。

「私自身も45歳。ちょうどサービスのターゲット層と同じ立場で、これからのキャリアをどうしようかと考えることもあります。自分の未来を考えるような気持ちで、利用者に寄り添っていきたいです」

そのためにまずは市場に入り、マイナビらしさを追求したいという。マイナビスカウティングが属するHR (Human Resources)セグメントには、総合転職サイトの「マイナビ転職」、人材紹介サービス「マイナビAGENT」をはじめ、フリーランス・副業人材と企業のマッチングサービス「スキイキ」、課題解決のプロと経営課題を抱える企業をマッチングする「マイナビ顧問」といったサービスもある。今後はそれらとの連携も深めていきたいと考えている。

小さな意見も拾い上げ、実行に移す。

吉澤は、自分の判断一つでサービスの未来が左右されることに対し、自身を中小企業の社長だと思うくらいの責任感でやってきたという。

「これまで長く携わってきた求人広告の世界と、エージェントや採用企業と深い関係を築く現在の世界では、求められることが意外にも異なるんです。事業責任者になって1年くらいは、マイナビらしさだけでなく、私らしさも模索していたように思います」

立ち上げまでのいくつもの壁を乗り越えるなかで、徐々に見えてきた“自分らしい色”。「今はどこにそれを感じるか」と吉澤に問うと、しばらく思案したのち「メンバーの意見を吸い上げ、すぐに実行に移すところ」と答えた。

「現場の課題やメンバーのニーズを把握するため、課長職時代から職場に目安箱を設置しており、すべて目を通して回答しています。直接上司に言えない不安や疑問などを共有してくれるので、それらをもとにみんなの意識のズレや課題点などを確認、できることはなるべく早く実行しています。小さな歩幅ながらも、確実に前進できている気がしますね」

集めた意見を参考に、あたらしいツールや外部研修を導入し、組織の風土改革に生かすことも多い。

「『社員研修の実施時間を計算してみたら、1年間でわずか十数時間だった』という組織が多いと聞きました。私たちは、1年間で10日間を研修に充てることを目指し、業務スキルだけではなく、自身の参考になりそうな分野について学ぶ時間を週に1時間つくっています。もともと営業が多い組織なので、私も含めて画期的なアイデアがつぎつぎと出てくる方ではありません。だからこそ、メンバー全員で積極的に学びを深める必要があると思っています」

何よりも心が躍るのは、可能性を広げる瞬間。

「ともに、たくさんの働くをつなげること」。エージェントサクセス事業部が掲げるミッションは、吉澤がマイナビスカウティングに託した想いであり、吉澤自身のパーパスでもある。

エージェントや採用企業と求職者を「つなぐ」。紹介できる求人がないエージェントに求人を紹介し、エージェントと採用企業を「つなぐ」──たくさんの「働く」のつなぎ手として、労働人口の減少という社会課題に、間接的に取り組んでいく。

「マイナビスカウティングは、全社的に見ればそれほど規模の大きな事業ではありません。しかし、ひと度社会に目を向ければ、労働力不足という深刻な社会課題があり、多様な働き方を必要としている人が大勢いる。ミドル・ハイクラスの転職市場もますます拡大していくでしょう。そう考えると、やるしかないんです」

新サービスに対する使命感を携えつつ、吉澤は屈託のない笑みを浮かべながらつぎのように話す。

「私が一番やりがいを感じるのは、これまで経験のないことに取り組んでいる瞬間です。あたらしいことに挑戦して、事業や組織、人、そして自分自身の可能性を広げるのが好きなんでしょうね」

転職市場という大海原での航海は、まだ始まったばかり。ライバルに圧倒され、不安で溺れそうになる日もくるだろう。それでも吉澤は、自分自身と、マイナビスカウティングの存在意義に突き動かされて、今日も前に進んでいく。

株式会社マイナビ エージェントサクセス事業部 事業部長 「マイナビスカウティング」責任者

吉澤 伸吾(よしざわ・しんご)

住宅メーカーでの新卒採用リクルーターを経験し、2005年にマイナビへ中途入社。中途採用における求人メディアの広告営業、プロダクト企画運営部門のマネジメントなどに従事する。
2021年、事業部長に就任。2022年には事業部の名称を「エージェントサクセス事業部」に改新し、2024年1月、新サービス「マイナビスカウティング」をリリースする。

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