PURPOSE STORY

25

キャリアを“つむぐ”一人ひとりの支えになりたい。

株式会社マイナビ 社長室 HRリサーチ部 HRリサーチ1課 課長 東郷 こずえ(とうごう・こずえ)

「パーパス」ってなんだろう?

「ミッション」や「経営理念」と似ているけど、ちょっと違う。
企業と社会のつながりが欠かせない今、
ビジネスシーンで“存在意義”と訳されるこの言葉が、
多くの企業に求められている。

《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》

これは、マイナビが掲げたパーパスとともに歩く、
社員一人ひとりの物語。





「働くの明日を考える」をコンセプトに、2021年に誕生した「マイナビキャリアリサーチLab」。先行き不透明な現代を生きるビジネスパーソンに向けて、雇用・労働関連の調査データや各種レポートといった専門的なコンテンツを発信するシンクタンク(研究機関)と位置づけられている。

同サービスの立ち上げから参画しているHRリサーチ1課 課長の東郷こずえには、「キャリアに迷う人の支えになりたい」という想いがある。多様化した現代ではステレオタイプ的な考えが薄れつつある一方、キャリアを決める難易度が上がっている。だからこそ、真剣に向き合い、確かな根拠をもって情報を届けたい。その先に目指すのは、「誰もが好きなキャリアパスを描くことができ、それによって不利益を被らないような社会」だ。

マイナビらしいシンクタンクをつくりたい。

2007年にマイナビに中途入社した東郷は、大学で生物学を学び、新卒で食品メーカーに就職した。「家族や友だち、大事な人たちに本音で勧められる食品を販売している企業で働きたい」と考えたためだ。

「新卒で入社した会社では約5年働き、さまざまな職種を経験しました。そこで印象的だったのは、社長みずからが社員研修を行うほど人材の育成に注力していたことです。企業にとって、“人”がいかに大切なのかを実感し、次第に人材業界へ進みたいと思うようになりました」

業界のなかでマイナビを選んだ理由は「人が魅力的だったから」だという。マイナビには親しみやすさがある。入社前から、そんな社風を東郷は見抜いていた。

「やりたいことがあったのはもちろんですが、面接でお会いする方々と気が合うなって。誰と接しても話しやすいので、一緒に働きたいと思ったんです」

入社後は営業推進などに従事したのち、マイナビが運営する就職情報サイトのデータ分析を担当することに。理系出身ということもあり、数字から読み取れることをレポートにまとめるといった仕事は楽しく感じられたという。

そののち、2019年に自身の強い意志でHRリサーチ部へ異動し、2021年に自社のシンクタンクとなるべく「マイナビキャリアリサーチLab」の立ち上げを推進した。「働くの明日を考える」をコンセプトに、雇用・労働に関する調査やレポート、コラムなどを発信している。

マイナビキャリアリサーチLab

「マイナビが人材業界を牽引するのであれば、発信する情報・発言に根拠や責任をもてるような後ろ盾が必要だと思ったんです。異動したのはちょうど40歳の節目のとき。これからの10年で研究機関、あるいはそれに匹敵する部門にしようと異動前から決めていました」

マイナビキャリアリサーチLabが心がけているのは、マイナビらしく「日々を生きる人々に焦点を当てること」。それが競合との差別化にもつながっている。

「政府や大企業の経営者に提言できるほどの説得力をもつシンクタンクになりたい、という思いはあります。一方で、マイナビは一人ひとりのユーザーやクライアントに寄り添うことを強みとして、一段ずつ階段を上るように成長してきた企業です。利用者に併走するようなシンクタンクがあってもいいし、そのほうがマイナビらしいかなと思っています」

堂々とした「研究員」になるために。

マイナビキャリアリサーチLabにおける東郷の役割は、新卒採用領域に関する調査の実施やレポート・コラムの執筆、外部への講演活動、マスコミ向けの発信や取材対応、部下の育成など多岐にわたっている。高い志をもって始めた取り組みではあるものの、立ち上げ当初は「“研究員”と名乗ることに恥じらいもあった」と本音を漏らす。

「Labのメンバーの肩書きは“研究員”です。実際には、一般的にいう会社員ではありますが、名乗ってしまえばそういう自分になっていけるだろう、という半ば格に自分たちを寄せていこうとする強引な想いがありました。でも、心のどこかで他のシンクタンクの研究員の方の実績と自分を比較して、気後れしてしまう部分があったのも事実です。

堂々と自信をもって「研究員です」と名乗り、周囲からも認められたい。そんな想いから、東郷は大学院で博士課程を取得することを決意。2022年から仕事と並行して通い始め、この2月に修士論文を提出したばかりだ。

「私が学んだのは『カウンセリング学位プログラム』といって、教育や産業、福祉、犯罪領域など、人々の支援につなげることを目的とした幅広い分野の心理学です。ここでの勉強は現在の仕事にとても生きていて、明らかにしたい課題へのアプローチ方法を検討する際などに役立っています」

大学院での学びを通して、東郷は下準備の重要性を再認識したという。何本も論文を読むなど地道にリサーチしてはじめて、適切なアプローチの仕方を考えられる。答えのない問題に取り組むときは特に、勘や経験だけではなく、相手が納得するような論理的根拠が求められることに改めて気がついた。

自分のなかにあった迷いがスッと消えた。

そういった姿勢がまさに生きたのが、2023年11月にマイナビキャリアリサーチLabで発表した2040 近未来への提言「つむぐ、キャリア。」だ。51ページにわたる同提言は、2040年の労働環境変化の予測とそれに関連したコラムなどで構成されている。

つむぐ、キャリア。

「チームメンバーや協力してくださった外部の研究者とディスカッションを重ね、完成までに約2年を費やしました。もっとも悩んだのは、プロジェクトの核となる部分です。『つむぐ、キャリア。』を通じて“誰”に“何”を伝えたいのか、この提言によって“どういう社会”をつくっていきたいのか。さまざまな意見が飛び交い、状況が進展しない日も続きました」

そんなタイミングでマイナビのパーパスが策定され、「自分のなかにあった迷いがスッと消えた」と東郷はいう。

《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》

このパーパスを聞いたとき、「私たちの本務は働く一人ひとりに焦点を当てることだ」と心が定まったのだ。

「パーパスが策定される以前は『競合他社のように政治家や行政をターゲットにするべきではないか』という思いがありました。しかし、働く人という“個人”が求めている情報、その一人ひとりが幸せだと思えるメッセージを届けていくことこそ、マイナビがやるべきことだと言われた気がしたんです」

「つむぐ、キャリア。」を制作するにあたり、チームメンバーと外部研究者の橋渡し役として東郷は尽力した。

「専門家である研究者の意見と私たちマイナビの意見、お互いを尊重しながら協業することを大事にしました。とはいえ、両者はベースにある価値観や考え方、使っている言葉も違います。研究者の方の圧倒的な知識とマイナビがもつ実務家としての想いをしっかり刷り合わせることが必要だったんです。研究者の世界に足を踏み入れた大学院での経験が、ここでも大いに生きました」

結果的に「つむぐ、キャリア。」は、東郷にとって忘れられないプロジェクトになった。誰にとっても読みやすい文章やページ構成に加え、オリジナルの表現も散りばめられている。

「難しい内容はできるだけ噛み砕き、グラフやイラストを多用する、色のバランスを整えるなど、ビジュアル面にもこだわりました。シンクタンクの提言書らしくはないですが、キャリアのプロではない方が読んでも納得できることを第一にしたかったんです。仕事の経験のつくり方を『なれる、かさねる、つなげる、こえる』という4パターンで表現するなど、独自の言い回しも注目してほしいポイントです」

「この道が私の正解である」と思えるように。

多様性が叫ばれ、“当たり前”の概念が失われつつある現代では、以前より自由な人生を選択しやすくなっている。とはいえ、固定観念はまだ根強く残っており、自分らしく生きることとの間にギャップを感じている人も少なくないだろう。「自分が選んだ道、自信をもって正解だと認められることが大事だと思います」と、東郷は言葉に力を込めた。

「例えば、管理職を目指したくない会社員は向上心がないというレッテルを貼られがちですが、管理職にはならずともスキルは上げたいと思っている人も多いです。迷った末、『社会的に望まれているから』という理由で自分の意思に合わない選択をするほうが安心となったら、結果的にはお互い不幸になってしまうかもしれない。そうなるのを防ぎたいんです」

東郷自身にもキャリアパスを考えるうえで、葛藤した経験がある。

「企業は数字を追い求める必要がありますが、私自身は事業をつくって売上を上げるといった方向にモチベーションが高いわけではありません。それよりもマイナビのサービスを後ろ盾にしながら、社会全体に対して、変革をもたらせるようなメッセージを発信していくのが性に合っているなと。とはいえ数字を上げない部署は、会社にとって価値があるのかと迷いや不安を感じたことは正直あります」

そんな気持ちを変えてくれたのもまた、マイナビのパーパスだった。自身が目指す世界観とマイナビが掲げる使命が一致していると認識でき、「会社や仕事はこうあるべき」という思い込みが外れたからだ。

「パーパスを実現するなら、私たちのような部署が必要だよねと自信が湧きました。私たちの働きは、よりよい社会をつくることにつながっている、今ではそう思えます。取材などを通じて、マスコミの方をはじめ社外から信頼を寄せてもらっていると感じることも、自分たちの価値を再確認できる瞬間です」

世のなかの人々を幸せにしたい。働くことも含めて、豊かな人生を送ってほしい。東郷の原動力は、この青臭いとも思われるような願いだ。自身が感じているように、「この道が私の正解である」と誰もが思える社会を築いていくことが、東郷のパーパスなのだ。

株式会社マイナビ 社長室 HRリサーチ部 HRリサーチ1課 課長

東郷 こずえ(とうごう・こずえ)

2007年、中途入社。営業推進、サイトデータ分析部門などを経て、現職。主に新卒採用領域において、年間約40件の学生及び企業向けアンケート調査の立案・運用・分析を手がける。国家資格キャリアコンサルタント。

マイナビジョン > PURPOSE STORY > キャリアを“つむぐ”一人ひとりの支えになりたい。
25