PURPOSE STORY

44

ふるさと納税×メディアで、地域の魅力を伝えていく。

株式会社マイナビ コンテンツメディア事業本部 ふるさと納税事業部 事業部長 山田 拓生(やまだ・ひろき)

「パーパス」ってなんだろう?

「ミッション」や「経営理念」と似ているけど、ちょっと違う。
企業と社会のつながりが欠かせない今、
ビジネスシーンで“存在意義”と訳されるこの言葉が、
多くの企業に求められている。

《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》

これは、マイナビが掲げたパーパスとともに歩く、
社員一人ひとりの物語。





2022年11月、マイナビは、ふるさと納税ポータルサイト「マイナビふるさと納税」をリリースした。「ひとりのオモイが、ふるさとのミライを紡ぐ。」をキャッチコピーとして、各自治体との結びつきを深め、ふるさと納税を通して地域創生につなげることを目指している。

事業部長として、この新規事業を率いるのが、コンテンツメディア事業本部 ふるさと納税事業部の山田拓生だ。社内公募によりみずからの意志で同部署に異動した山田には、営業として約10年、地域課題に向き合ってきた経験と、マイナビの強みを生かし地域の課題解決に取り組みたいという、強い想いがある。

「パーパス」という言葉は“存在意義”とも訳されるが、ふるさと納税ポータルサイトのなかでは後発である「マイナビふるさと納税」にとっては、“サービスの存在意義”を示すことが喫緊の課題だという。勝負の年・2024年に山田が目指す、マイナビふるさと納税の未来とは。

マイナビだからできる、地域課題解決があるはずだ。

北海道・北広島市で生まれ育った山田。大学卒業後は地元の印刷会社に就職し、営業職に従事した。約4年の勤務を経て、人材派遣会社に転職。営業・コーディネーターとして2年ほど勤務し、キャリアチェンジを志してマイナビを選んだ。

「30歳を目前に、将来のキャリアを考えていたとき、当時仕事で付き合いがあったマイナビの営業担当に『よかったら受けてみませんか?』と声をかけてもらったのがきっかけでした。『学生と企業の架け橋になる』というマイナビの想いに共感し、ここならやりがいを持って働けそうだと思ったんですよね」

そうして2013年、就職情報サイト「マイナビ」などを扱う就職情報事業本部の営業としてマイナビに入社。2022年にふるさと納税事業部に異動するまで、北海道・東北エリアの新卒採用事業に携わった。そこでは、地域の企業だけでなく、自治体と仕事をする機会も多くあり、リアルな地域課題に触れることができたという。

「現地の学生の就職事情を見てみると、北海道は札幌市に一極集中、東北は宮城県、特に仙台市、もしくは東京で就職する選択が多い印象です。地元の学生を対象とすると企業の採用活動は年々難しくなっております。そこで、Uターン就職の学生を採用するための施策を、地元企業と取り組んできました。また、若年層の雇用促進や移住定住を促進したい自治体に向けた研修なども実施していましたね」

学生に興味を持ってもらうには、地域そのものをより魅力的に変えていかなければならない。そうした課題に向き合っていくうち、「マイナビには雇用以外の形でも地域課題を解決できる可能性があるはずだ」という考えを持ち始めたという。

「そんなタイミングで『マイナビふるさと納税』の社内公募があり、ピンときました。『自分がやりたかったのはこれかもしれない』と。『ふるさと納税』とは、返礼品を通して自治体の魅力を世間にアピールし、寄付を募る仕組みです。国の制度を活用して広く地域の情報を届けることで、より地域創生に貢献できるかもしれないと考えたんです」

メディアの力で「ふるさと納税」の本質を伝えたい。

「マイナビふるさと納税」は、コンテンツメディア事業本部のメンバーが立案した新規事業だ。「ふるさと納税」全体の寄付額は令和4年度で約9,700億円となり、前年比で約120%増と右肩上がりとなっている。それでも制度の利用者は課税対象者全体のわずか15%弱であり、今後も成長が予測される市場だ。

「成長段階にある市場といっても、マイナビは後発での参入であり、すでに大手の媒体が市場シェアを占めていました。他社媒体との確固たる差別化ができなければ、成長は見込めないでしょう。一方、現状のふるさと納税市場は、単に『返礼品の魅力』による競争となっていて、『自治体そのものの魅力』を訴求しづらい状況があります。そこで事業の立ち上げに携わった者は、マイナビが持つ『メディア力』を生かすことができれば、独自性のあるサイトになるのではないか、という考えに至ったと聞いています」

「マイナビニュース」をはじめとしたメディア事業は、ここ10年で成長し、マイナビにとって事業のひとつの柱となっている。このメディアを通した発信力こそ、唯一無二のポータルサイトになるための強みであり、各自治体の想いを広く届けていけると、当時の立案者らは考えたのだ。

マイナビふるさと納税

「本来、ふるさと納税は、地域を応援するための寄付制度です。生まれ故郷やお世話になった地域、行ったことがなくても応援したい地域の力になれる手段なのですが、大多数の寄付者の方は、『節税のため』『返礼品がお得』といった理由で寄付をしているのではないでしょうか。そういった現状を踏まえ、地域そのものの魅力を、より深く伝えていく必要があるのです」

ふるさと納税は、本来は住んでいる自治体に納めるはずの税金を、任意の自治体へ寄付をすることによって、住民税や所得税が控除される仕組みとなるが、その寄付金の使い道を寄付者本人が指定できる数少ない方法の一つとなっている。自治体によって寄付金の使い道は、子育て対策、環境保護、福祉・医療など選択肢は地域によってさまざまで、なかには重要文化財や野生動物の保護を選べる地域もある。用途を自身で選ぶことは、地域を知るための大きなきっかけになるはずだ。

「市町村に寄付の使い道をお任せするという方も多いのですが、割合としては、子育て施策や福祉・医療を選ぶ方が多いように思います。その地域がどんな課題を抱えていて、そのうえでどんな支援がしたいかを、一人ひとりの寄付者にしっかり考えてもらえるのが理想ですね」

地域と寄付者をつなぐ「ハブ」を目指して。

2022年11月のサイトオープン後は、新規登録キャンペーンなどの施策が功を奏し、マイナビふるさと納税は一定の規模に成長している。2023年12月の自治体掲載数は251件と、前年同月比で約4倍に。返礼品の数は11万品と、約4.6倍まで伸びた。掲載自治体からも、「主要大手サイトに次いで寄付額を募ることができています」との声が届いているという。

「最初に部署に配属されたのは私を含めて4名で、まずは掲載いただける自治体を集めるための営業が中心でした。サイトが未完成の段階から商談を進めていたため、試行錯誤の日々でしたが、自治体の方々からは『マイナビがやるなら』という好反応をいただき、当社が積み上げてきたメディア発信力や幅広い事業領域などへの期待を、肌で感じましたね」

商談では、他社サイトと比較した特性や事業への想いをアピールした。「メディア発信力を生かして、これまでとは異なる側面から地域の魅力を訴求したい」という想いが自治体側の共感を呼び、契約にいたるケースが多かったという。

「現在、当社の主要サイトである『マイナビニュース』内に『ふるさと納税』のカテゴリを設けて、自治体や返礼品の魅力を伝える記事を掲載しています。単にランキングや寄付額で寄付先や返礼品を選ぶのではなく、記事を通して生産者・事業者の想いを知ったうえで寄付してもらう流れが増えていければと考えています」

その先で見据えているのは、寄付者に各自治体を訪れてもらい、より深くその地域を知ってもらうことだ。

「寄付を通じて、各自治体の“関係人口”を増やすだけでなく、実際に足を運んでくれる“交流人口”を増やしていけたらいいですね。いずれはその地域への移住・定住にまでつながれば理想的です。その過程で地域の雇用促進や研修サービスの提供など、各部署と連携してさまざまな課題をサポートしていけたらと。自治体と寄付者をつなぐハブのような存在を目指していきたいです」

サービスの存在意義を示す、勝負の一年になる。

2024年3月現在、ふるさと納税事業部のメンバーは10名に拡大。社内公募で集まったメンバーとキャリア採用のメンバーが入り混じり、サービスのキャッチコピー「ひとりのオモイが、ふるさとのミライを紡ぐ。」の実現を目指して奮闘しているという。

「全員がひとつのゴールを共有しながら、それに向かって努力できている感覚はあります。だからこそ、年齢・社歴・役職も関係なく、全員が自分の意見をざっくばらんに言い合っています。事業部長である私も、トップダウンではなく、全員の意見を聞いて判断するようにしています」

新規事業を存続させるには短期間で実績を出すことが求められるが、扱っているのは国の制度であるため、想像していなかった制度変更が行われることもある。ときには、各自治体で何が起こっているかを迅速に把握し、営業戦略やサイト改修を検討しなければならない。そのような環境では、誰かに指示されるのではなく、各自が自発的に情報をキャッチして動く必要があるのも、この部署ならではの特色だという。

「当初の計画では、もっとスピーディーな成長を目指していたのですが、2023年に制度の大幅な変更がありました。今年はまさに勝負の年。アクセルを踏んで事業を軌道に乗せ、マイナビふるさと納税の存在意義を示していかなければと思っています」

これまでの寄付者の傾向や実績を踏まえ、2024年でどれだけ契約自治体数と会員数を増やし、サイトの魅力を伸ばしていけるのか。それが、マイナビふるさと納税の未来を左右する。そのために、まだ世間に知られていない自治体の魅力を掘り起こしていく必要もある。

「海産物やブランド牛など、わかりやすい魅力がある自治体は寄付が多く集まります。一方で、目立った返礼品を持ってない自治体にも、必ず何らかの魅力があるんです。それらを掘り起こしながら、丁寧に伝えていくのは、メディア運営のノウハウがあるマイナビだからこそできること。いずれは、地域の隠れた魅力を発掘して、マイナビふるさと納税オリジナルの返礼品をつくれたらと考えています」

事業を成長させていくと同時に、各自治体が抱える課題に向き合い、地域創生へとつなげていく。山田が選んだ道は決して平坦ではないが、この仕事をやりきった先で待つ地域の未来は、きっと明るいに違いない。

株式会社マイナビ コンテンツメディア事業本部 ふるさと納税事業部 事業部長

山田 拓生(やまだ・ひろき)

2013年、株式会社マイナビ入社。就職情報事業本部に配属され、営業として北海道・東北エリアの採用支援に携わる。2017年4月に宮城に異動し、2019年より2年間岩手支社の支社長業務も経験した後、2019年4月より宮城の営業部長にて従事。
2022年、社内公募により、新設のふるさと納税事業部へ異動。自治体営業をはじめ、運用面などの全体進行や管理業務などを行い、翌2023年に事業部長に就任。現在に至る。

マイナビジョン > PURPOSE STORY > ふるさと納税×メディアで、地域の魅力を伝えていく。
44