メディアの力で、ウエディングの“あらたな価値”を届ける。
「パーパス」ってなんだろう?
「ミッション」や「経営理念」と似ているけど、ちょっと違う。
企業と社会のつながりが欠かせない今、
ビジネスシーンで“存在意義”と訳されるこの言葉が、
多くの企業に求められている。
《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》
これは、マイナビが掲げたパーパスとともに歩く、
社員一人ひとりの物語。
結婚を考えるすべてのカップルへ向けて、理想の結婚式場や婚約・結婚指輪など、ウエディングにまつわる情報を幅広く提供する「マイナビウエディング」は、2024年の春、サイトオープンから12年を迎え、大幅にリニューアルされた。リニューアル後は、価値観やニーズが多様化した現代のユーザーに寄り添い、ウエディングの“意味”や“価値”を伝えていくことをミッションに据えている。
ときを同じくして、同メディアの新編集長に片山裕美が就任した。片山は、女性向けファッション誌の編集長を歴任したのち、Webメディアの立ち上げも多数手掛けるなど、雑誌やWebメディアの世界で実績を積んできた編集者だ。
コロナ禍を機に結婚式に対する価値観が大きく変わった昨今、「結婚式を挙げる必要なんてあるのだろうか?」と考える人も少なくない。そんな現代において、片山が提起しようとしているものとは——。マイナビウエディング編集長としての、片山のパーパスに迫る。
10代の頃に影響を受けた雑誌の世界へ。
広島県で生まれ育ち、都会への憧れを持っていた片山にとって、雑誌は「目指したい未来を見せてくれる存在」だったという。
「私が10代の頃は、とにかく雑誌に勢いがありました。東京のアパレルショップがたくさん紹介されていたり、憧れのアーティストのインタビュー記事が載っていたりと、非常に刺激を受けたんです。ページを1枚1枚めくりながら、『大人になったらこんな自分になりたい』『こんなライフスタイルを送りたい』と日々、未来に想いをはせていました。今振り返ってみると、人の価値観に影響を及ぼすメディアの力を、雑誌を通して体感していたからこそ、編集の道に進もうと思ったのかもしれません」
影響を受けた「雑誌」を、自分もつくってみたい。そんな想いから、大学卒業後は主婦の友社に入社。女性向けファッション誌の編集者としてキャリアをスタートさせた。
「締め切り前は徹夜が続くなど、体力的には相当ハードでした。特に、20代の頃は本当にしんどかった。でも、そのハードさを編集者同士で楽しみながら、お互いのスキルを生かして雑誌を盛り上げていくのは、最高に幸せな時間でしたね。自分の企画が読者投票で1位に選ばれたりしたことも、モチベーションにつながっていました」
雑誌編集で培ったのは、読者の心に迫るマーケティング力。
片山が一層仕事にのめり込んだのは、女性向けファッション誌『Ray』の編集長に就任してから。ライバル誌とマーケットのシェアを奪い合う状況のなか、編集部員の総力を結集して、確実に部数を伸ばしていったという。
「いわゆる『赤文字系雑誌』群の一誌だったRayは、ライバル誌が非常に明確だったのですが、競合のなかではもっとも後発で、部数も劣っていました。それまで担当してきた雑誌とは違い、マーケットのなかで存在感を示して、競合に食らいついていく必要があったんです。それがとにかく面白くて、非常に燃えましたね。独自のペルソナを設定してあたらしい企画や施策を実行していくうちに、部数がグッと伸び、広告クライアントの幅も広告収益も拡大していったんです」
マーケティングにおいては、なによりも「ユーザーを見ること」を常に大切にしていると片山は語る。そのために積極的に実施していたのが、読者取材だった。
「さまざまな角度から読者に問いかけをして、その反応を見ながら、心の奥底で何を思っているのか、トレンドや環境の変化によって感度や価値観にどんな変化があるのか、感じ取っていく。ユーザーを取り巻くさまざまな業界、ブランド、店頭の動きもリサーチしながら、それらをもとに企画を立てて、実行し、検証する。こうした作業を通じて身につけた『雑誌的なマーケティング力』は、今も変わらず私の武器になっています」
ファッション誌の編集長を歴任したあと、ファッション誌群の統括部長まで上り詰めたが、現場に戻りたいという思いから主婦の友社を退職。幻冬舎へ転職し、女性向けファッション誌『GINGER』の創刊編集長を務めるほか、ファッション系ECメディアの立ち上げなどに多数携わった。その後、ファッション系ECメディアの代表取締役社長を経て独立。そして、2024年3月、マイナビウエディングの新編集長に就任した。そんな華々しい経歴を持つ片山に期待されたのは、マイナビウエディングを飛躍させるための“あらたな一手”だった。
見えにくくなったウエディングの価値を伝える。
マイナビウエディングのリニューアルに併せて新編集長に就任した片山だが、実はその1年以上前から外部アドバイザーとして運営に協力していたという。そんな片山の目に、リニューアル前のマイナビウエディングはどう映っていたのか。
「リニューアル前は、結婚準備中のユーザーと式場などのクライアントをつなぐ『マッチングサイト』としての側面が強く、『メディア』としての強みは見えづらくなっていました。単なるマッチングサイトであれば、式場探しのために通り過ぎるサイトになってしまう。でも、マイナビウエディングの持つブランド知名度やドメイン力、充実したコンテンツをさらに強化していけば、ユーザーの心を掴み、共感を呼ぶメディアにできるはずだと、大きな可能性を感じていました。雑誌の編集においても、ユーザーの心を掴むために恋愛や結婚に関するコンテンツにはかなり力を入れてきたので、こうした経験を生かし、メディアのあらたな方向性を示すサポートをしようと思ったんです」
今回のリニューアルの背景には、メディアとしての課題だけではなく、ウエディングに対する価値観の変化もあるという。
「コロナ禍で結婚式を挙げるのが難しくなり、参列する機会がなくなったことをきっかけに、『実は結婚式ってやらなくてもいいのでは?』と考える人たちも増えています。ウエディング業界が大打撃を受けた一方、そうしたパラダイムシフトが起きたことで、結婚式や結婚準備の本質が浮き彫りになった面もあるんです。『義理を立てるのではなく、素直な気持ちで本当に祝ってほしいと思う人たちを招けばいい』『主役は自分たちだけじゃない。みんなが心から楽しめて感動できる式にしよう』といったように、それぞれのカップルにとって大切なものが見えてきた。“それまで正解だと思い込んでいたこと”が一旦リセットされて、それぞれのカップルがそれぞれのふたりらしさを求めていこうという気分になってきている状況なのだと思います」
マイナビウエディングの編集長として、片山はこの変化をどうとらえているのか。
「結婚式の真の価値は、人生の門出を大切な人たちと一緒に祝い、ふたりの出会いや絆をカタチにすることにあります。だからこそ、従来の形式にとらわれず、ふたりらしい結婚式を挙げてほしい。そうすればきっと、結婚式でしか得られない一度きりの感動を味わい、これから続くふたりの未来をもっと大切にできる。マイナビウエディングでは、そうした価値を伝えながら、ユーザーがワクワクできる多様なウエディングのスタイルを、クライアントとともに提案していきたいと考えています」
片山は、編集部のメンバーの想いも汲み上げながら、1年半にわたってマイナビウエディングのメディアとしてとるべき基本姿勢を考えてきた。その結果生まれたのが、「ウエディングの真の価値を届ける」というあらたなメディアのミッションだ。今回のリニューアルを機にこのミッションを意識したコンテンツ展開もスタートしている。
ユーザーが“理想のウエディング”に出会える設計に。
今回のマイナビウエディングのリニューアルの軸となったのは、UI(ユーザーインターフェイス)とUX(ユーザーエクスペリエンス)の刷新だった。プロジェクトのメンバーと議論を重ね、ユーザーが心地よく情報を探せる設計を目指したという。
「まず、サイト全体をシンプルで洗練されたイメージに刷新し、写真が映えるデザインに変更しました。加えて、ユーザーが自分に合う結婚式のスタイルを見つけやすいよう、『指輪』『式場』『国内・海外リゾート』『プレミアムジュエリー』『プレミアムヴェニュー』『プレミアムウォッチ』といった主な6領域のコンテンツをシームレスにつなげ、回遊性を向上させています。『結婚式場 国内リゾート』と検索してサイトにたどり着いたユーザーであっても、『海外リゾート』の情報をたまたま目にして、気持ちが変化することもありますよね。そうした変化を先読みして、ユーザーのアンテナに触れるような楽しい発見を提供できるサイト構成にすることで、既成概念に囚われないワクワクするウエディングを提案していこうと考えたんです」
そうしたサイト構成の刷新に加え、今回あらたに導入したのが「パーソナライズ機能」だ。パーソナライズ機能では、ユーザーの価値観や検討しているエリアを自動で判別し、検索だけでは得られない「あらたな発見」を提供している。
「雑誌をつくっていた頃は、読者を複数タイプにカテゴリー分けし、それぞれのタイプに深く刺さるような企画を考えていました。でも、現在のユーザーは、さまざまな感性や好み、キャラクターを自分のなかに持っていて、メディア側がそれを安易にセグメントしていくのはちょっと古い気がする。その時々の気分に合った情報を提供し、コンテンツを通じて理想の結婚式場や、婚約・結婚指輪に出会えるようにするパーソナライズこそ、時代に合っていると考えています」
加えて、片山が注力しているのが、インフルエンサーや業界のプロフェッショナルの起用だ。
「現代のユーザーは、情報そのものよりも、『誰が言っているのか』を重視する傾向があります。一人ひとりに信頼するインフルエンサーや専門家がいて、その人の発信に信頼をおいているんです。今後は、そうしたニーズも汲みながら、時代を先読みして結婚情報を伝えられるようなインフルエンサーやプロフェッショナルの方に参加いただき、コンテンツ発信をさらに強化していく予定です」
さらには、結婚準備中のモニターユーザーを起用し、共感を呼ぶリアルな発信を行う企画も検討しているという。ここにも、片山が雑誌で培ってきたマーケティング手法が存分に生かされそうだ。
結婚準備の中で育つ、未来への光を伝えたい。
マイナビウエディングのミッションは、編集長を務める自身のパーパスでもあると、片山は語る。
「従来の常識とは異なる『ウエディングのあたらしい価値観』を、コンテンツを通じて示していくこと。それがマイナビウエディングのミッションでもあり、現在の私のパーパスでもあります。もちろん、結婚が人生のすべてではないし、結婚式をしないカップルや指輪を買わないカップルがいてもいい。でも、将来への希望が持ちづらかったり、自分になかなか自信が持てなかったりする現代だからこそ、大事な人と絆を確かめ合う大切さや、心から祝ったり、祝われたりする喜びを多くの人に知ってもらいたい。そんな想いを持って取り組んでいます」
価値観が多様化している現代においても、誰かと人生を歩んでいく幸せや、ふたりらしいスタイルで指輪を贈ること、結婚式をつくり上げていくことがもたらす幸せは確かにある。マイナビウエディングを通じて、そうした普遍的な価値も一緒に伝えていきたいと片山は語る。
「さまざまな選択を迫られる結婚準備期は、ふたりで悩んで、何度も話し合って、ときには意見がぶつかることもあるでしょう。でも、そうやって真摯に向き合って見つけたふたりの価値観やふたりらしさは、簡単には揺るがない一生ものです。ここから続くふたりの人生において、何か壁にぶつかったときも、きっとそれが乗り越える助けになってくれるはず。結婚準備を通じて生まれるのは、思い出だけではありません。絆を深めて、未来が見えるふたりになる。マイナビウエディングが、その手助けになればいいなと考えています」
ユーザーにとことん向き合う片山のまっすぐな想いは、結婚を控えたふたりにとっての灯台になるに違いない。
株式会社マイナビ マイナビウエディング編集長
片山 裕美(かたやま・ひろみ)
お茶の水女子大学卒業後、主婦の友社に入社し女性ファッション誌の編集に携わり、『Ray』編集長、『mina』創刊編集長などを歴任。その後、幻冬舎にて『GINGER』の創刊編集長を務めるほか、“女性誌のマーケ手法を Webに生かす”という狙いで、モール型ECサイトや百貨店とのコラボレーションでWebメディアの立ち上げも多数手掛ける。
2019年、ファッション系ECメディアの立ち上げに代表取締役社長兼編集長として参加。2024年春、マイナビウエディング編集長に就任。現在に至る。