学生のポジティブな未来に、「いち社会人」として関わりたい。
「パーパス」ってなんだろう?
「ミッション」や「経営理念」と似ているけど、ちょっと違う。
企業と社会のつながりが欠かせない今、
ビジネスシーンで“存在意義”と訳されるこの言葉が、
多くの企業に求められている。
《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》
これは、マイナビが掲げたパーパスとともに歩く、
社員一人ひとりの物語。
マイナビでは、「マイナビ20XX」などの就職情報サイトを始め、大学生のキャリア・就職支援に関するさまざまなサービスを展開している。学生たちが就職活動と正面から向き合い、自分にとってベストな選択ができるよう、大学と連携して支援を行っているのが、就職情報事業本部キャリアサポート課だ。
「私自身、社会人を楽しんでいる一人。自分に合った将来選択が人生を豊かにするというメッセージを、いち社会人として伝えていきたいです」と、キャリアサポート課の轟里美は言う。今の時代を生きる学生が将来にどのような不安や期待を抱き、マイナビはその揺らぎにどのように寄り添っているのか。轟に話を聞いた。
『せっかくなら』で、自分にとってのベストな選択が決まった。
「就活は選択の連続ですが、その選択が自分にとって正解だったかどうかわかるのは、社会に出て数年経ってからだと思います。学生のみなさんそれぞれが『自分の選択が正解だった』と自信をもって言えるように、多角的にサポートするのが私たちの役割です」
就職情報事業本部で大学生のキャリア支援に携わる轟里美は、自身の仕事をこのように分析する。就活という制度において、学生は「攻略法」を求めてしまいがちだが、自分にとってベストな選択をするには何が必要なのだろうか。
「就活は『内定』というゴールを競うゲームではありません。自己分析や企業研究を経たうえで、学生と企業がお互いにマッチングする。自分の好きや得意は何か、将来どんな仕事に就いて、どんな暮らしをしたいか。しっかり自分と向き合い、自分の人生を考えたうえで就活に臨むことが、なにより大事だと思います」
マイナビに入社して8年目。自身の選択は正解だったか尋ねると、「私にとってはベストな選択だったと思います」と答える轟。マイナビへの入社を望んだ背景には、大学時代の経験が大きく関わっているという。
「私は、何をするにも『せっかくなら』と考えるタイプです。大学に入学したときも、せっかく大学でいろいろ経験できるなら、自分の糧になる活動をしたいと思っていて。そうした理由から、学園祭実行委員になることを決めたんです」
学園祭実行委員会では、企業からの協賛を集めるチームに所属。学生の立場でも自分が起こしたアクションに対して企業から反応を得られたり、それによって協賛企業が増えたりすることがおもしろく、いつしか、将来は営業職に就きたいと考えるようになっていた。
「就活を通じてさまざまな企業の話を聞くうちに、営業職でも、何か特定の商品を販売するより、サービスや商品を組み合わせて総合的な提案をしたい。自分ならではの色を出せる仕事のほうが私には向いている、と思うようになりました。幅広くサービス展開をしているマイナビなら、自分がやりがいを感じながらはたらける気がしたんです」
視点を変えて、就活事業と向き合ってみたい。
轟は、社会人になるにあたり「一度入社したら3年は頑張ろう」と決めていたという。その言葉のとおり、2017年にマイナビの営業職に就いてから、3年間は無我夢中で駆け抜けた。しかし、4年目を迎えたとき「今後のキャリアはどうしよう」と、急に不安を覚えたという。
「3年ほど働くと、任される仕事は大きく、複雑になっていきます。新人のときのようなアグレッシブさだけでは、立ち行かなくなっていくんですよね。私は文系出身なので、理系学生の採用の話は苦手分野でしたし、日々仕事をするなかで、クライアントに求められているレベルを超えられない……と、悩むことも多くなっていきました」
「もっと経験を積む必要がある」そう考えるうちに轟は、「視点を変えて就職事業と向き合う選択肢もあるのではないか」とも思うようになった。そうしてみずからの希望で、2021年にキャリアサポート課へ異動。対企業から対大学・学生へと、向き合う相手を変えた。
「営業をしていたとき、担当企業の方から『最近の学生ってこういう傾向があるよね』『就活をもっとこういうふうにとらえてほしい』といった話を聞く機会がよくありました。そうした意見の吸い上げはできているのに、営業という立場では、学生にアプローチする手段があまりないことももどかしくて。キャリアサポート課なら、これまでの経験を生かしつつ、学生と企業をつなぐ提案ができるかもしれないと思ったんです」
大学に寄り添い、学生に“あたらしい発見”を提供する。
現在、キャリアサポート課が扱うサービスは主に4つ。1つ目は就職情報サイトの「マイナビ20XX」であり、2つ目は合同企業説明会などのイベントだ。
また、マイナビでは低学年向けのキャリア支援サービスにも力を入れており、大学1~2年生向けのキャリア支援サイト「START」や、全学年対象のキャリア学習サービス「My CareerStudy」の2つがそれにあたる。各大学・学生に対してこれらのサービスを広報し、利用を促すのが轟の主な仕事だという。
「大学によって、学生支援のスタンスや学生の状況は異なります。大学の意向やその年の学生状況に合わせて大学への提案を行うので、決まったキャリア支援のかたちはないんです」
学生は、社会人として働くイメージをつかめないことも多い。「実際のところ」を伝えるために、学生向けのセミナーやイベントを企画するのも轟の仕事の一部だ。
「例えば学生のみなさんが最初に気になる企業は身近な商品やサービスを扱うBtoC企業が多いです。でも、市場規模も大きいBtoBの領域まで視野を広げてみたら、もっと彼・彼女らが将来世界で活躍したり、世のなかに影響を与えるサービスを担ったりできるかもしれない。もちろんどちらがよいというわけではないですが、イベントを企画するときは、こうした“あたらしい発見”の提供を意識しています」
大学への提案やイベントの企画にあたり、調査データの活用や新卒採用を行う企業の生の声を届けられるのもマイナビの強みだという。先輩就活生からのアドバイスや、企業が学生に求めることなど、幅広く事業展開をしているからこそ届けられる情報も多い。
「大学の要望に合わせて、その大学の出身者に登壇してもらい、就活の実体験を語ってもらうイベントを企画することもあります。私たちの話以上に、先輩のエピソードが、彼・彼女らに響くこともある。『イベントを通じて就活を自分ごととしてとらえられた』という感想をいただくことも多いですね」
強固な土台が、ミスマッチを防ぐ。
どれだけサポートを手厚くしても、結局のところ、就活に臨むのは学生自身。毎年、入社後すぐに辞めてしまう新卒社員が一定数存在する。なぜ、そのようなミスマッチが起こるのだろうか。
「これはあくまで一例ですが、最近は外資企業やコンサル業界を志望する学生さんも目立つようになりました。勤務形態や給与・仕事内容などでファーストキャリアとして志望する方も多く、就職倍率が高くなるケースがあります。一方、倍率の高いいわゆる人気企業に入社することがその学生にとってのベストな選択であるとは言い切れません。自己分析や企業研究に時間を費やさず、社会的な評価や見え方などを理由に企業を選んでしまうと、入社後にミスマッチが起きやすくなります」
近年は、ミスマッチを防ぐためにもインターンシップ制度が推進され、就活前に1人あたり5〜6社のインターンシップに参加する状況が当たり前になっている。インターンシップの本来の役割は、プレ社会人体験を通じて、その企業の雰囲気や事業・仕事内容を理解すること。一方、就活で焦る気持ちが先行したり、まわりに合わせてとりあえず参加したりと、インターンシップへの参加自体が目的になっている学生も少なくない、と轟は言う。
「ただ参加するのではなく、もっと有意義な時間としてインターンシップを活用してほしい。そのためにマイナビでは、どのような目的を持ってその企業のインターンシップに参加したか、インターンシップによって何を得られたか、あるいは自分とマッチしなかったのはどういう点かなど、自己分析につなげるための振り返り講座なども実施しています」
就活を終えた学生に「心残りなこと」を聞いてみると、一番多いのは「自己分析をもっとすればよかった」という答えだそうだ。
「これまでの人生や経験を振り返って、自分の興味・関心、価値観、能力などを把握する自己分析はもちろん、第三者の意見を聞いてみる他己分析も活用して、多方面から自己理解を深めることが大事だと思います。そうやって自分と向き合った経験は、社会人になってからもきっと役に立つ。学生のみなさんが、数年後に過去の選択が正解だったと自信をもって言える未来にもつながるはず。そう信じて、土台を築くことの重要性を常に伝えています」
「いち社会人」として学生に向き合っていきたい。
轟のパーパスは「一人の社会人として飾らない素直な意見を伝え、学生が前向きな行動を起こすきっかけを与え続けること」。その実践として、毎年、母校のキャリアセミナーに登壇し、「社会人の楽しみ方」というタイトルで講義を行っているという。
「私が思う社会人のおもしろさは、いち個人でも自分の働きかけ次第でまわりへ影響を与えられること、そんなやりがいを感じる瞬間が、学生以上に多いことです。だから学生のみなさんにも『社会人って案外楽しいよ』と伝え続けています。講義を受けてくださった方が、アンケートで『轟さんのお話を聞いて社会人って悪くないのかもしれないと思った』と伝えてくださることもあり、それだけで仕事へのモチベーションが高まります」
2024年4月に課長に昇進し、チームを率いるというあらたな挑戦の最中にいる轟。今までより一段高い視点から「学生と就活」について考える立場になったが、「一人ひとりのベストなキャリアを支援したい」という軸は変わらない。「きちんと知識を身につけ、キャリア支援にもっと深く関わりたい」という想いから、国家資格キャリアコンサルタントも取得したそうだ。轟の働きかけによって、ほんの少しでも考え方が変化したり、視野が広がったりする学生は、これからもきっと存在するだろう。
「学生一人ひとりの可能性を広げられるかどうかは、私たちの関わり次第だと思っています。これからも、マイナビ社員としてだけでなく、いち社会人として本気で学生の将来選択と向き合うことで、学生のみなさんが将来をポジティブに考えられる世界を支援していきたいですね」
株式会社マイナビ 就職情報事業本部 大学広報統括本部 東日本統括部 東京ブロック 東京キャリアサポート1課 課長
轟 里美(とどろき・さとみ)
2017年、株式会社マイナビ新卒入社。就職情報事業本部にて営業職として企業の新卒採用支援に携わる。2021年、同事業部のキャリアサポート課へ異動し、大学生のキャリア・就職支援に従事。2024年に課長に就任し、現在に至る。