高校生の興味を引き出し、進学先選びを納得の行くものに。
「パーパス」ってなんだろう?
「ミッション」や「経営理念」と似ているけど、ちょっと違う。
企業と社会のつながりが欠かせない今、
ビジネスシーンで“存在意義”と訳されるこの言葉が、
多くの企業に求められている。
《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》
これは、マイナビが掲げたパーパスとともに歩く、
社員一人ひとりの物語。
マイナビの未来応援事業本部では、大学・短大・専門学校などの高等教育機関や高校生のためのサービスを展開している。同事業部において、高等教育機関と進学を希望する高校生を結びつける「マイナビ進学」の営業として、関東甲信越エリアのチーム長を担っているのが、2018年に新卒入社した中村 悠だ。
昨今、18歳人口減少の影響で入学者を確保できない高等教育機関が増加している。中村はそうした教育機関の魅力を引き出し、「マイナビ進学」などのサービスを通して進学先選びに役立つ情報を高校生に提供することで、資料請求や来校、出願、入学などの具体的なアクションに導いている。入社して以来、高い成果をあげ続けている中村が胸に抱いているパーパスとは——。
野球と教育を軸に、マイナビに入社。
長野県で生まれ育ち、小学生の頃から野球に親しんできた中村。高校進学の際は、自身の希望で地元から離れた高校に入学し、強豪野球部に入部した。しかしながら、レギュラーになるのは難しいと早々に悟ったという。
「当時は悔しさもありましたが、その後は主務というかたちで部を支えることにやりがいを見出すようになりました。大学時代には、プロ野球チームの球団職員になりたいと思い、球団関係者に直筆の手紙を送ったりもしたのですが、うまくいかず。教育実習で地元の中学生に野球を教えたこともあり、『教育というかたちなら野球に携われるのでは』と思い、大学院の教職研究科に進学したんです」
卒業後は教員になることも考えたが、部活動の外部指導員制度が開始され、教員になっても野球を教えられない可能性が出てきた。「どんな形でもいいから野球に携わりたい」。そう考えていたときに出会ったのが、東京ヤクルトスワローズのトップスポンサーでもあり、教育関連の事業も行っているマイナビだったという。
「新卒採用試験を受け、2018年4月に入社しました。大学院で研究してきたことや、教育実習で生徒たちと関わった経験が多少なりとも生きればと思い、教育広報事業部(現:未来応援事業本部)を希望し、配属が決まったんです。結果的に野球とは関係のない業務をしていますが、事業部のなかで自分が一番楽しく仕事をさせてもらっている自信があります」
偏差値にとらわれない進学先選びを実現する。
中村は入社後、教育広報事業部の営業職として高等教育機関の入学者募集の支援を行ってきた。入社した2018年からは、主に首都圏や栃木県の大学を担当。2019年には、部署名が「未来応援事業本部」に変更された。入社4年目の2021年に課長に就任してからは、首都圏、新潟県、長野県の大学を担当。2024年4月には関東甲信越エリアの大学チームのチーム長に就任し指揮をとっている。
「未来応援事業本部が提供するサービスには、ポータルサイトの『マイナビ進学』を始め、学校紹介冊子の『マイナビ進学ガイド』や高校生向け進学イベント『マイナビ進学ライブ』などがあります。こうしたサービスを通じて教育機関の魅力を伝えることで、進学を目指す高校生の興味関心を引き出し、資料請求や来校、出願、入学といったアクションにつなげていくのが私たちのミッションです」
少子化が進む現代では、高等教育機関の競争が激化し、短大や女子大などを中心に入学者を確保できない学校が増加しているという。
「偏差値が高い有名大学も、以前より志願倍率が落ちて入学しやすくなっているため、『せっかくなら有名大学に行きたい』と考える高校生が多くなっています。すると、知名度が低い大学や短大は入学者が確保できず、資金不足に陥ることも。なかには、経営状況が厳しく、募集停止に追い込まれる学校も増えてきています」
だからこそ偏差値に縛られず、それぞれの学校の魅力を引き出し、高校生に寄り添った形で伝えることが必要だと中村は指摘する。
「他校にはない魅力を伝える必要があります。例えば、その大学でしか学べない研究分野があったり、人気のある教授の講義を少人数で受けられたり。学校には、高校生に魅力を感じてもらえる切り口を提案しながら、当社のサービスをご紹介しています」
最近の若者は、動画サイトやSNSの進化により、様々なジャンルの専門家やインフルエンサーなどの発信に触れる機会も増えている。以前と比べて、高校生の進路選択についての考え方に変化は見られるのだろうか。
「『誰かに敷かれたレールを走るのではなく、自分らしく生きたい』といったような人生観を持つ方が多いように感じますね。ただ、あくまで私が見てきた印象ですが、昨今も進路選択の軸を見つけられずにいる高校生は少なくありません。サービスを通じて、そうした方々に手を差し伸べ、未来について考えるきっかけをつくるのも、未来応援事業本部の大切なミッションだと考えています」
STEAM人材の魅力を伝え、理系に興味を持つ高校生を増やす。
偏差値だけにとらわれず、自分の将来にしっかりと向き合って進路を選択してほしい。そうした想いを実現するために未来応援事業本部が力を入れているのが、高校生向けの進学イベント「マイナビ進学ライブ」だ。
「イベントでは、全国各地の大型会場に多数の教育機関がブースを並べ、参加した高校生に向けて学校の魅力や雰囲気を対面で伝えています。なかには、体験授業が受けられる特設ブースを設置する学校も。私の担当エリアのイベントでは、毎回1,000~3,000人ほどの高校生が来場しています。進路について深く考えていない高校生でも、イベントを通じて将来について考えたり、学校への印象が変わることもあり、非常に有意義な機会だと思っています」
進路選択において将来のキャリアをイメージできていない場合、キャリアの可能性が狭まってしまうことも多いと中村は指摘する。
「国内の受験では文理選択が迫られますが、『キャリア形成に必要か』という視点ではなく、単純に『数学や理科が苦手だから』という理由で理系を避けてしまう高校生が多いんです。のちのち理工系の職業に就きたいと思っても、高校生の時の進路選択がネックになってしまうケースも少なくありません。最近では文系職種であっても、データ分析やプログラミングなど理系の知識が必要になる場合も増えています」
AIやIoTなどの技術が急速に普及した現代社会では、文系・理系にとらわれず、みずから課題を発見し、解決できる「STEAM人材」の需要が高まっている。STEAM人材とは、Science(科学)、Technology(テクノロジー)、Engineering(工学)、Arts(アート)、 Mathematics(数学) の5分野の知識や技能を併せ持つ人材のことだ。
「こうした人材を育てる取り組みは『STEAM教育』と呼ばれており、国内外問わず積極的に後押しされているんです。日本では特に理工系の分野の知識を持つ人材や学生が不足しています。そうした背景から、文部科学省は、不足している理系分野の学生を35%から50%まで引き上げることを目標に理工農系の学部・学科新設を支援しています※。こうした支援を活用し、STEAM 教育に注力する教育機関も増えてきているんです」
こうした動きに対応すべく、2024年の5月には、高校生向けのガイドブック『Meta-Gate 2024』を創刊し、全国の高校に配布。同ガイドブックは、「変化し続ける未来を生き抜くためのガイドブック」を副題に、これから活躍できる人材や進路選びのポイントなどを、わかりやすくまとめていると言う。
「エンジニアや研究者などSTEAM分野で活躍している人にフォーカスし、仕事の内容ややりがいを伝えるインタビュー記事も掲載しています。これは、就職や転職の支援を行っているマイナビだからこその企画かもしれません。働く人の生の声を聞くことで、高校生が進路の選択肢を広げるきっかけになれば嬉しいですね」
※出典:我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について 教育未来創造会議 第一次提言
「熱中する何か」に出会えるきっかけをつくる。
野球に携わることを目標に、人に流されず、みずからの意志で進路を選んできた中村。入社後は、プレイヤー賞やマネージャー賞を毎年受賞するなど、コンスタントに成果を出し続けてきた。結果的に野球とは関係ない仕事をしているが、自身の選択に後悔はないと中村は語る。
「野球への想いを第一に進路を選んできたからこそ、それぞれの環境で楽しみと目標を見出しながら一直線に邁進して来られたのかなと思うんです。思い描いた通りにはならなかったとしても、没頭できるものを見つけて追い求めていれば、自然と自分の進むべき道が見えるのだと実感しています」
中村は、自身の人生を通じて熱中できるものを持つ大切さを実感してきた。だからこそ、高校生にもそういった対象を見つけてほしいと言う。
「進学を希望する高校生のみなさんには、後々『この学校を選んでよかった』と思ってもらいたいんです。『世間の評価が高い』『親に勧められた』といった受動的な理由ではなく、自分の意志で進学先を選んでほしい。そのためには、好奇心やエネルギーが湧いてくるものを見つけることが大切なのかなと。みなさんが熱中できる何かを見つけられるよう、これからも視野を広げる機会や場所を提供していきたいと考えています」
そのためにも今後は、高校と高等教育機関と社会の三者を結びつける取り組みを行っていきたいと言う。
「例えば、高校生が大学の学びにもっと触れられるよう、高校の授業に大学の教授を派遣したり、研究室のリソースを貸し出したりといったスキームも作ってみたいですね。うまく行けば、高校側と大学側、両者にとってメリットがある取り組みになるかと思います」
進学先選びは、その後の人生に大きな影響を与える重要な局面のひとつだ。だからこそ、高校生が熱中できるものに出会えるきっかけを高等教育機関とともにつくり、進学先選びを納得のいくものにする。これこそが、みずから道を切り拓いてきた中村が胸に抱いているパーパスなのだ。
株式会社マイナビ 未来応援事業本部 営業統括本部 営業統括部 東日本営業部 営業チーム チーム長
中村 悠(なかむら・ゆう)
2018年4月、株式会社マイナビに新卒入社。教育広報事業部(現:未来応援事業本部)に営業職として配属され、首都圏、栃木県の大学を担当。2020年には、首都圏、栃木県、新潟県の大学を担当。2021年には、首都圏、新潟県、長野県の大学を担当し、4月には課長職へ。2024年4月より東日本営業部営業チームのチーム長に就任し、現在に至る。