PURPOSE STORY

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ITエンジニアの「キャリアの可能性」を広げ続けていく。

444株式会社 代表取締役 社長執行役員 赤松 淳子(あかまつ・じゅんこ)

「パーパス」ってなんだろう?

「ミッション」や「経営理念」と似ているけど、ちょっと違う。
企業と社会のつながりが欠かせない今、
ビジネスシーンで“存在意義”と訳されるこの言葉が、
多くの企業に求められている。

《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》

これは、マイナビが掲げたパーパスとともに歩く、
社員一人ひとりの物語。



2021年、ITエンジニア向けスキル可視化プロダクト「TechFUL(テックフル)」を開発・運営する444(トリプルフォー)株式会社がマイナビグループにジョインした。そして2023年、同社の代表取締役社長に就任したのが、マイナビで20年以上のキャリアを持つ赤松淳子だ。

1997年に毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に中途入社した赤松は、紙からWebへのシフトに伴い就職情報サイトの立ち上げに参加。以来、長きにわたってマイナビの柱である就職・転職関連のサービスサイトをシステム担当者として支えてきた。理系でもシステム系でもなかった赤松が、ITエンジニア向けのサービスを提供する444社の代表として描きたい未来、実現したいパーパスとは。

ナビサイトとともに成長したシステム担当時代。

赤松は大学卒業後、映像制作会社や出版社での勤務を経て、1997年に毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に中途入社した。それまでは映像や雑誌の制作に携わってきたが、転職後の赤松のキャリアは予想外の展開となった。

「当時はガラケーが普及したぐらいのタイミングで、ちょうど紙からWebへの転換期でした。それに伴い1998年にサイト運営・開発部門へ異動し、今でいう『マイナビ20XX』など就職情報サイトの立ち上げに携わるようになったんです。データベースを伴うシステムの仕様を決めたり、外部の制作会社へ指示を出したりといったディレクション業務が中心でした」

文系出身としてキャリアを築いてきた赤松にとっては考えもしなかった道だったが、気づけばサイトを運営していくためのあらゆる業務を担当する「サイトの何でも屋」として奔走していた。新しいことに出会える楽しさに満ちていた日々は、瞬く間に過ぎていったという。

「当時、九段下にあった小さな自社ビルの小さな会議室で、開発ベンダーの方々と膝を突き合わせて朝から晩まで仕様を話し合ったことは、今でも鮮明に覚えています。ああでもない、こうでもないと試行錯誤しながら、ユーザーに支持されるサービスをつくり出していく。その経験は、仕事をするうえでの礎になったと思います」

2007年にはシステム開発部門の管理職となり、「サイトの何でも屋」から「システム開発の専任者」に。この昇進もまた、自身の予想とはかけ離れていたという。

「管理職になることを特に意識していたわけではなかったんです。当時は今より女性社員も女性管理職も少なかった時代でした。ロールモデルも少ないなか、無我夢中で仕事をしているうちに職位が上がり、任される仕事の幅が広がっていったという感じでしたね」

その後は、就職や転職に関連したWebサイトの立ち上げや、システムを丸ごと入れ替えるような大型のリニューアル案件で統括役を担うように。全体の進行を管理しながら、時には問題解決のため社内外の調整に当たるなど、プロジェクトを円滑に進めるのが赤松の役割だった。

こうして『システム開発の専任者』としてのキャリアが積み重なり、気づけば2017年にはシステム系部門の事業部長に。そして2023年には、またしても予想外の機会が巡ってくることになる。

TechFUL

思いがけずスタートアップの代表へ。

TechFULを開発・運営する444社がマイナビグループにジョインしたのは、2021年のこと。TechFULは情報処理を学ぶ学生などプログラミング初学者を対象に、1,100問以上もの豊富な問題を解くことでプログラミングスキルを磨き、さらにポートフォリオとしてスキルを“見える化”できるサービスだ。

「TechFULを運営するためのシステムに課題があり、そのリファクタリングプロジェクトを指揮してほしいと私に声がかかりました。2022年秋にプロダクトマネージャー的な役割でジョインしたのですが、思いがけず2023年には代表取締役に就任することに。これまでの経験をもとに、乞われて仕事ができるということはとても幸せなことです。ここで力を発揮したいと思ってオファーを引き受けました」

そもそも、TechFULは、ITエンジニアの不足や採用・配属のミスマッチといった課題解消を目的に、2017年に誕生した。マイナビグループへのジョインが決まったのも、「ITエンジニアの就職・転職」という点で親和性が高かったためだという。

「20年以上、システム開発・運営に携わるなかで、ITエンジニア不足は常に感じてきた課題です。また、ITエンジニアはスキルが重視される職業ながらも、そのスキルが可視化されていないことにも課題があると感じていました。新卒採用は面接などを参考にしたポテンシャル採用になる分、どうしても就職後のミスマッチが発生しやすくなります」

ITエンジニアがより良いファーストキャリアを歩むためにも、一定以上のスキルを証明することができれば、マッチングの精度が上がる。これこそ、まさにTechFULが目指す世界観だと赤松は言う。

「まだ理想には程遠いのですが、TechFULを使用することで、特定のプログラミング言語の習熟度や得意なカテゴリーは見えやすくなります。現在は一般ユーザーのほか、情報処理系の教育機関に通う学生の方に無償で使っていただいていて、教育機関への導入実績は440校以上にのぼりました。BtoBとしてITエンジニアを採用したい企業向けの有償サービスも展開しており、ITエンジニアの紹介やスカウトやイベントなどの採用支援にも取り組んでいます」

翻訳者のように立ち回り、チームをひとつに。

再出発を切った444社のチームビルディングを行うにあたり、赤松が着手したのが「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の刷新だった。

「私たちがフォーカスするのは技術を使う『人』であり、どこまでも人の可能性を追求していくことで、TechFULをITエンジニアにとって不可欠なプロダクトに成長させていきたい。そんな想いで『社会の変化とともに、《人》の可能性をアップデートし続ける。』というミッションと『ITエンジニアのキャリアを支える、プラットフォーマーに。』というビジョンを設定しました。マイナビのパーパス『一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。』に対しても、“人の可能性”の部分での重なりを意識しています」

5つのバリューにも赤松の想いが現れている。

「人生で仕事に費やす時間は長いので、まず楽しみながら働いてほしいなと願っています。また、よりよいサービスを提供していくには最高のチームが欠かせません。チームとして結果を出すために、『チームは掛け算』『全体最適であれ』といった意識を持ってほしいと伝えています」

444社は約30名ほどの小さなチームだが、例えば「エンジニア」と「事業サイドメンバー」ではときに立場も意見も異なる。だからこそ、サイトの運営やプロダクトの機能の調整など、一つひとつのトピックに対して「何をしたいのか」を話し合う必要がある。互いに話しかけやすい雰囲気づくりや認識の齟齬の防止といった調整も、赤松の重要な仕事の一つだ。

「エンジニアは正確に事象を伝えるために、専門用語も交えて一生懸命伝えてくれる人が多いのですが、事業サイドだと『それによって何がどうなるのか』の答えが逆に見えづらくなるといった、ボタンの掛け違えが時々起きてしまうんです。そういうときは「翻訳者」として立ち振る舞うことがあります。マイナビで管理職を務めていたときも、事業部間の調整で同じような課題に対応していたので、その経験が生きていますね」

そして、グループにあらたにジョインした会社であるがゆえに、社員の意識醸成にも取り組んでいる。444社とマイナビグループとの事業シナジーは発展途上ながらも、『マイナビグループの一員である』という意識は大切になってくるからだ。

「マイナビグループにジョインして3年が経ちますが、役職関係なく相手をリスペクトして、フラットに話ができるカルチャーが生まれてきているように思います。444のメンバーは学びの意欲が高く、穏やかながら内に熱量を秘めているようなタイプが多いんです。彼・彼女らに対して、居心地の良さと成長の機会を提供できているのではないかと思っています」

一人ひとりのキャリアの可能性をアップデートする。

雰囲気のいいチームができあがっている一方で、プロダクトの課題はまだまだ尽きない。そのひとつが、よりわかりやすいスキルの基準を提供することだという。

「TechFULのエンジニアと、TechFULを使ってくださっている企業の人事担当者の方が同じことを話していたのですが、『一定の難易度の問題を解けている人は、仕事におけるキャッチアップ力(状況を把握する力)が高い傾向にある』そうです。ひとつの仮説として、一定の難易度を超えると指示どおりに解くだけでは時間オーバーで、もう一工夫が必要になるため、論理的に物事を組み立てる能力が求められるのかもしれません。この相関関係をしっかり証明できれば、全学校・企業共通のスキルの基準を設けることができるはずです」

そして、TechFULの理想の形として赤松が思い描くのは、技術にくわしくない人でも、その人物のスキルを適切に評価できることだ。

「私自身も文系の人間ですから、コーディングの質の高さなどは、完全にはわからないわけです。きっと多くの人事担当者もそうだと思いますので、例えば『学習履歴の深い人は入社後も成長意欲が高い人材である』など、誰でも理解しやすい相関関係を示せたらと考えています」

2024年6月以降、TechFULでは、システムの改善とともに進めてきた他社との業務提携や、新卒エンジニア向けスカウトサービス「TechFUL スカウト」のリリースなど、ニュースが相次いでいる。今後はさらなる事業成長を目指し、広報活動にも注力していくという。

そして、444社の代表として赤松が心に留めているパーパスは、プロダクトを磨き上げ、それを通じてITエンジニアのキャリアの可能性をアップデートしていくことだ。

「私自身、仕事を通じて出会えた一人ひとりに可能性を引き出していただいたからこそ、今のキャリアがあると思うんです。そんな経験を通して今の自分が大事にしているのは、“恩送り(Pay it forward)”という言葉。だからこれからは、いただいた恩を一緒に働く444社やマイナビグループのメンバー、TechFULを使っていただく学生さんや企業の方、そして社会に還元していきたいですね」

まったくの専門外だった「システム開発」の世界で道を切り開き、現在は一企業の代表として思いもよらない理想を追いかけている。赤松が歩んできた道は、キャリアの可能性が無限大であることの証明にほかならない。その可能性をつぎの世代に伝えていくことが、今の彼女の願いなのだ。

444株式会社 代表取締役 社長執行役員

赤松 淳子(あかまつ・じゅんこ)

映像制作会社・出版社を経て、1997年に株式会社毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)入社。1998年にサイト運営・開発部門へ異動後は、就職ナビサイトの創設期より開発・立ち上げに携わり、2007年からシステム開発部門・管理職へ。その後、就職系・転職系含め人材系サービスサイトの複数の立ち上げ・リプレース・運用に従事。2017年、システム系部門事業部長に就任。社長室を経て、2022年よりマイナビグループの444株式会社へ。2023年より現職。

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