「感謝と敬意」で、未来が見える世界をつくる。
「パーパス」ってなんだろう?
「ミッション」や「経営理念」と似ているけど、ちょっと違う。
企業と社会のつながりが欠かせない今、
ビジネスシーンで“存在意義”と訳されるこの言葉が、
多くの企業に求められている。
《一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。》
これは、マイナビが掲げたパーパスとともに歩く、
社員一人ひとりの物語。
2024年1月、マイナビに新設された「サステナビリティ推進部」。ESG、社会貢献活動の観点からサステナビリティの推進に努め、パーパスの実現に取り組む部署だ。
遠大なミッションの達成に向けて、さまざまな部署と連携しながら、着実に歩みを進めようと取り組んでいるのが大仲美幸、その人だ。入社以来、営業の第一線でキャリアを築きながらも、「仕事はひとりでは成り立たない」と常に他者や自分のいる環境への感謝を惜しまない。そんな彼女だからこそひらけるマイナビの可能性、マイナビの未来に迫った。
メンバーの応援団になろうと決めた。
「パーパスができて、会社として向かうべき“道しるべ”ができたと感じました。パーパスの実現に欠かせない、5つのバリューズも気に入っています。なかでも特に私が共感しているのが『感謝と敬意』です」
その言葉のとおり、大仲のキャリアを巡る物語は一貫して、「感謝と敬意」にもとづく謙虚な姿勢に満ちている。
「大学時代は4年間、接客のアルバイトに励んでいました。お客さまと対面でコミュニケーションをとれる点は好きでしたが、社会人になってからはより長期的な視野で伴走する仕事がしたい。そう思い、毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)の営業職に興味をもったんです。就職面接では、売り手市場だった当時においてはめずらしく、自分の弱点についてアドバイスされることもありました。その率直な風土が、私には心地よかったんです」
2008年、晴れてマイナビに入社し、転職情報事業本部の大阪営業課に配属された大仲。みずからも弱みだと認識していた「不器用さ」を真摯な姿勢に転化させ、行動量を掛け合わせて仕事にまい進した。その結果、2017年に部長に就任。多くのメンバーを束ねるようになっても、謙虚な姿勢は変わらなかった。
「役職についてからは、自分はメンバーの応援団になろうと決めました。マイナビは比較的若手のメンバーが多く、部下との年齢が近いのが特徴です。ですから、若手メンバーが少しでも前向きになれるような環境づくりや声がけを意識しました。特にメンバーと話すときは、話を聞く側に徹しています。メンバーから出る意見に学ばせてもらうことも本当に多いんです」
今の自分があるのは素晴らしいメンバーに恵まれたから。
2017年九州で部長に就任した大仲に、一つの壁が立ちはだかった。
「メインの拠点は博多でしたが、私の担当エリアには北九州、久留米、さらには沖縄まで含まれていて、週の大半を博多以外で過ごすこともありました。そのため、メンバーから『大仲さんは、私たちのことを見てくれていない』と言われてしまい、猛省したんです。それ以降、限られた時間であっても一人ひとりのメンバーときめ細かくコミュニケーションをとるように行動を変えました。メンバーのみなさんには、“私なんか”ではなく、“私も”という姿勢で仕事に打ち込んでもらいたい。そう思い、彼・彼女らと日々向き合いました。だからこそ、みんなが目標としていたチーム賞を獲得できたときは本当に嬉しかったです。メンバー全員の頑張りがあってこその自分であることを痛感しましたね」
そののち大仲は、2019年に東京営業部の統括部長として異動。当時、営業部門の部長職としては初となる産休・育休を挟んだ就任となった。
「大阪支社、福岡支社を経ての東京勤務は、社内外の人脈も少なく、またゼロからのスタートになりました。さらに、育休復帰後は子どもがまだ幼いために、仕事の予定を急遽キャンセルせざるを得ない状況が発生するなどして……。そんな私を直下にいた3人の営業部長が密に連携を取って支えてくれました。今の私があるのは、各エリアで素晴らしいメンバーに恵まれたことに尽きます」
感謝と敬意の想いをあらたに東京本社での業務を進めていった大仲。そんななか、ひとつ見えてきたことがあった。
「支社は組織が小規模なので、さまざまな部署と関わりながら業務を進めています。一方、東京本社は人数が多い分、誰が何を担当しているかが分かりにくく、連携しづらい側面もあったんです。そうした経験から、同じマイナビグループで働いている者同士、部門の垣根を越えて、横にもつながる機会をもちたいと強く思うようになりました」
社内外をつなぐ横串になることが、私たちの役割。
グループ全体の“横のつながり”に課題感をもっていた大仲は2024年1月、新設されたサステナビリティ推進部の部長に任命される。
「マイナビグループがつぎの50年に向けて、未来が見える世界をつくり成長するためにつくられた部署だととらえています。そのために、環境問題、社会課題、ガバナンス(企業統治)の観点から、社員のみなさまの事業活動をあと押しすることがミッションです。サステナビリティについては内示を受けてから学ぶことも多かったですが、このテーマで各部署と横断的に関わり、連携役を務められるのではないかとありがたく受けとめました」
同部署の取り組みは、サステナビリティ戦略の企画推進、環境e-Learning、人権デュー・ディリジェンス※の実施や協賛ブースでの環境保全活動など多岐にわたる。マイナビのサステナビリティ活動を持続可能なものにするためには、事業部門への貢献という視点も欠かせないと、大仲は強調する。
※企業が事業活動を行ううえで人権侵害リスクの有無を調査・特定し、その防止・軽減を図るとともに、取り組みの実効性や対処方法について説明・情報開示する一連の行為
「発足してまだ半年ですが、総務部、人事部、広報部など、多くの部署と関わることで、横串が通ってきたという感覚があります。サステナビリティ推進部が前に立って先導するのではなく、部署ごとに取り組んでいたさまざまな施策の背景を、ほかの部署が汲み取れるようサポートする。サステナビリティに関する活動を社内外に広げ、つなげるハブの役割を果たす。そんなあと押しの仕方もあるのかなと」
先日、大仲が気象予報士の森田正光さんと対談する企画に恵まれた際、心に残った言葉があったという。
「森田さんは『言い続けることが、サステナビリティだから』とおっしゃっていました。『未来が見える世界をつくる』ために、私たちが取り組む一つひとつの施策は小さなことかもしれません。しかし、一度やると決めたことは言い訳せず、継続して向き合い続けることではじめてゴールにたどり着けます。ですから私の役目は、マイナビでサステナビリティを社内外に発信し続けることだと考えているんです」
自身の可能性や未来について考えるきっかけを、中学生にも。
サステナビリティ推進部では現在、マイナビの50周年記念事業の一環として、全国の中学生に向けた出張授業の無償提供も進めている。
「授業といっても講義形式のものではなく、カードゲームを通じて地域社会を支えるさまざまな職業や業種を知るしくみ。楽しみながら仕事と社会とのつながりに対する理解を深められる内容になっています。マイナビがもつ人材に関するノウハウと全国に支社がある強みを生かした社会貢献活動として、また、既存事業部の入り口となる中学生に向けたマイナビのブランディングとして、寄与したい想いもあります」
プロジェクトの本格運用は2024年7月から。それに先立って実施した千葉県での模擬授業で、すでに9割の生徒がマイナビを認識していたことに感動したと大仲は言う。さらに、授業によって業種と職種の違いを知ることができ、「将来の選択肢が広がった」といった感想が多く挙がったことにも、手応えを感じたようだ。
「一人ひとりの中学生にとって、この授業が自身の可能性や未来について考えるきっかけになったらこのうえない喜びです。マイナビの社員として、大きなやりがいになると感じました。また今回のプロジェクトでは、地域に根ざした企業を紹介するなど、地域社会との関わりも意識しています。地域課題に精通した全国の支社長、支部長のご協力があったからこそ実施できました」
エリアのトップとして多忙な支社長・支部長に協力を仰ぐのは容易ではなかった。しかし、感謝と敬意を忘れず仕事に向きあってきた大仲のこれまでのキャリアが功を奏する。
「いろいろな支社で勤務経験があったので、私のことを前々から知ってくださる支社長、支部長もいらっしゃいました。おかげで、スムーズにお話を進めていただけることも多く、大変ありがたかったです。あのときのあの些細なやり取りが今につながっている、と感じることも多々あり、一つひとつの仕事をきめ細かくやっていくことが、仕事を進めていくうえでとても重要であるのだと、改めて気が引き締まりました」
未来を担う子どもたちにとって、明るい世界をつくるために。
大仲が一貫して大切にしてきたバリューズの一つである「感謝と敬意」。しかし、彼女は実はほかを含めて5つの項目があることが気に入っていると話す。5つの多様性があってこそ、パーパスの「一人ひとりの可能性と向き合い」が達成されると感じるからだ。
「前部署で、メンバー約60名と一緒に、自分がもっとも共感するバリューズは何かという議題でワークショップを行いました。てっきり自分と同じように『感謝と敬意』と答えるメンバーが多いと思いきや、見事にバラバラだったんです。一昔前のマイナビであれば、営業職の方が共感しやすい『挑戦心と実践力』に偏っていたかもしれません。ですが、会社の規模の拡大にともない、さまざまな価値観をもった若手メンバーが増えていることを感じました。こうした多様性を受け入れてこそマイナビはさらに成長すると予感しています」
パーパスの実現に向けて、社内に芽吹くさまざまな価値観を包括する5つのバリューズの遵守においても、サステナビリティ推進部が新設された意義を果たしたいと語る大仲。そして、そうした社内統治が成立する大前提として、環境問題、社会課題にも積極的に取り組みたいと続けた。
「サステナビリティ推進部に着任した当初は、マイパーパスを『自分に関わってくださるすべての方々』に向けた視点で掲げていました。ただ、半年経って、成しとげたいことが少しクリアになった今は、矢印の向きを『未来を担う子どもたち』にしています。現在4歳になる娘がいるのですが、彼女の世代が大人になったときの世界が少しでも明るくなっているよう、今、社会や自然環境に対してマイナビが貢献する一助を担っていきたいんです」
大仲は、マイナビのサステナビリティ活動を持続可能なものにするためには、事業部門への貢献という視点も欠かせないと強調する。社内外のさまざまな人とのコミュニケーションを丁寧に積み重ねることで、あらゆる可能性に向き合い、さらには「感謝と敬意」を向ける先を、自身の関係者から未来を担う子どもたちへと広げた大仲は、マイナビでどんな未来を想い、世界を実現していくのか、これからも目が離せない。
株式会社マイナビ 社長室 サステナビリティ推進部 部長
大仲 美幸(おおなか・みゆき)
2008年、株式会社毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)入社。転職情報事業本部の大阪営業課に配属。2015年、福岡営業課へ異動し、2017年九州で営業部長に就任。2019年からは東京本社にて同事業部の統括部長を務める。2024年1月、新設されたサステナビリティ推進部部長に就任。現在にいたる。